日中技能者交流センター、JCSEC

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『中国で日本語を教えるやりがいとは?』

日本語教師募集要項(2015年度版)

中国派遣日本語教師
石脇千代子さん

(1)日本語教師としてのはじまり

①日本語教師になろうと思ったきっかけ
 外国で暮らしてみたいと思っていました。当時、公立中学の教師をしていましたが、3年生の担任としての務めも終わり、今までの28年間の仕事について、達成感を感じることができ、役目を果たせたかなと思いました。家族は心配したとは思いますが、「やってみたらいいよ。」と背中を押してくれて、決心しました。

②他の派遣ルートがある中で、当センターの中国派遣プログラムを選んだ理由を教えてください。
 中日友好を基本精神にしておられることと、日本語教師の待遇が保証されると思ったので決めました。

日本語教師

(2)授業について

①どんな授業を担当しましたか?
 主に「作文」と「会話」です。「総合日語(精読)」や「語法(文法)」、「日本事情」を担当したこともありました。「日本事情」の授業では、中国でよく使われる教科書に沿って、地理・歴史・文化・産業ほとんど網羅していました。現在の状況と合わないところもあり、今の画像や話題もできるだけ使いました。

②担当した授業(課外活動なども含む)の中で特に熱心に取り組んだこと・工夫したことについて教えてください。
〇作文は30分以内に400字の日本語の作文が書けることを目標にしました。
〇会話は具体的な生活の場面に使えるような会話を身振りも付けて練習させました。
 「作文」というのは、ただ「書く力」というのではなくて、総合能力だと思います。文法の力や、会話する力、聞き取って他者とつながっていく力、日本文化全体の理解力。そういうものをひっくるめていると思います。学生がそのとき一番つけたい力があります。たとえば、“留学試験を控えた高校生なら、留学試験の300字の作文”、“就職前なら自己紹介文の作文”、“N1,2級の試験を前にするなら読解力をつけるような作文、つまり論理的な思考の意見文”など、それぞれに一番必要な力をつけさせることです。「会話」も同じです。 面接での返答か生活場面での会話か。ともかく日本語を話すことに慣れなければいけません。そして、丁寧な言葉遣いの場面か、親しい者同士の会話の場面か、どちらの場面かということ。常にそのことを念頭に置いて授業を行いました。

③どのような成果を得られましたか?
 作文を通して、学生の生活が見えてくるようになり、授業の例文や導入の話でも分かりやすい話が作れると思います。学生の生活状況を知ることは、教師にとって、とても重要です。

日本語教師

(3)現地の人々と交流について

①現地に滞在して日本語を教えているからこそ経験できる中国の方々との交流を通じたエピソードを教えてください。
 昼ご飯を一緒に学生食堂で食べたり、自宅で巻きずしやハンバーグ、おにぎりなど作りました。文化講座と称して浴衣の着付けや絵本の読み聞かせもしました。学校の先生と一緒に温泉に行ったりぶどう狩りや登山をしたりしたこともありました。本当に親切に誘って下さいました。河南省の大学では(日本語学科同僚の)結婚式に招かれたこともありました。毎日行く八百屋のおじさんに主人は「他の所に行かないでここにいろよ」と最後に言われていました。
 それぞれの学校でそれぞれの町で本当にいろいろな人に支えられて生活してきました。こうして今元気でいられるのもたくさんの中国の学生や先生や土地の方々のおかげだと本当に思っています。この感覚は実際に体験してみないと分からないものではないかなと思います。

②中国の「人」や「生活」について、教えてください。
 中国は急激に発展してきました。地方都市でもほとんど何でもあります。生活は西洋化しています。日本も同じですが、中国は日本より進んでいるかもしれません。そんな中で中国の人は「春節」には必ず故郷に帰りたがります。どんなに遠くても。故郷への想いは日本人より強いのではないかと私は思います。家族や親せきを大切にするという思いも日本人より強いと思います。

日本語教師

(4)赴任する地域の気候・生活習慣等について

①直近で赴任された吉林省の気候・環境(特に冬の寒さ)について教えてください。
 冬の外気温は零下30度に近いですが、室内は快適(21度くらいに保たれています)です。靴、防寒着、防寒下着、雪道氷道の歩き方に注意すれば、問題ないと思います。雪景色の美しさは心洗われるようです。
<石脇さんの防寒対策>
冬季靴:底がしっかりしていて、内側にモコモコした布がついているもので200元(3500円)ぐらいで購入。
防寒着:ダウンジャケットは最初の赴任地で購入。
防寒下着:上下60元(安いもので)ぐらいで購入。
※いずれも市内のデパートで購入可能。

②これまで数多くの学校(地域)に赴任されたご経験のある石脇さんにとって、思い入れのある地域はどこですか。
 それぞれに忘れ難い思い出がありますが、最初に赴任した江西省「ピンシャン」という町での出来事です。50年ぶりだか100年ぶりだかの大寒波の年でした。電線も凍りつき停電となりました。そして水道も止まりました。冬休みに入っていましたが私は帰国せず各地を旅行しようと思っていました。しかし列車もバスも止まってしまいました。夜、宿舎に凍えながら一人でいるとトントンとドアがノックされました。宿舎の管理人のおじいさんが太くて長い蝋燭1本とマッチ箱を持ってきてくれたのです。その炎を見つめながら心も温かくなりました。
 それぞれの学校で困難なことはありましょうが楽しいこと嬉しいこともきっとあります。簡単な言葉ですが、感謝の気持ちをもって、日々生活することが大切だと思います。

(5)これからの中国派遣日本語教師へのメッセージ

①中国で日本語を教える教師だからこその「やりがい」について
 私自身は自分のやっていることは民間交流だと思っています。小さなものですが。中国で日本語を勉強しているたくさんの方々に、少しでもなまの日本語を届けられるならこれは幸せな仕事です。

②その他、これから中国で日本語を教えたいと考えている方々にメッセージをお願いします。
 授業の事について、学校によって日本人教師への要望が違います。着任したらまず、中国人の先生の要望しておられることや学生のレベルをよく見据えて、到達目標を決めることがまず大切だと思います。

今回ご協力頂いた 石脇千代子(いしわき ちよこ)さんのご経歴を紹介します。
日本での教職と中国での日本語教師、合わせて30年間の経験を活かして、「外国で暮らしてみたい!」という夢を実現するとともに、日中友好のために協力したいと思い、センター中国派遣プログラムに応募。2010年度研修会(センター主催)を修了後、河南省、湖南省、青島省、吉林省の学校へ赴任。現在は、天津市南開大学で活躍中。

 

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