中国派遣日本語教師 | |
<ご経歴>
日本語教師
松代 章(まつしろ あきら)さん (今年で2年目、現在も引き続き活躍中!!) 高校教員時代に、東京都教育委員会派遣教員として1997年8月から一年間、山東大学外国語学院(日語科)に赴任。教員退職後に「もう一度、中国の学生に日本語を教えたい!」という夢を実現すべく、センター中国派遣日本語教師プログラムに応募。2012年度研修会(センター主催)を修了し、黒龍江東方学院からの招聘(2012年9月~)を受けて中国赴任。現在も活躍中。 黒龍江省のアピールポイント
1 どこにも負けない冬の寒さ(-30度超え)
2 ハルピン人の普通話の美しさ(国営放送のアナウンサーの多くはハルピン出身 だそうです。困るのは正しい発音でないと、街の人たちが言葉を聞き取ってくれない。) 中国で日本語を教える魅力とは?
(1)中国で日本語を教えることについて
①どんなことに喜びや楽しみを感じますか? 毎時間授業を楽しみにして、待ってくれている学生がいることがうれしい。 打てば響くというか、こちらが工夫するとそれに応えてくれる学生が必ずいることが、ここで仕事をする一番の喜びとなっている。 ②どんなことに苦労しています(しました)か? 日本語科全体のカリキュラムの説明がないので、大学教育全体の中で自分の授業の位置づけが今ひとつわからない。卒業後の彼らにとって有益なことを教えてやりたいと思うが、肝心の彼らの将来がどういうものになるのかも、今の私にはわからない。 ③教師は、日本語教育を通じて、どのような役割を果たすことができるとお考えですか? 日本人教師として、 日本語を教えながら中国[語]と日本[語]との強固な結びつきを互いに確認したり、中国人とは異なる日本人独特の考え方や文化の特徴を教えたりする。共通点相違点を客観的に知ることは、将来のよりよい関係を築くうえで大切だと思う。 ④教師には、教師としての能力の他に、どのような素養が求められると思いますか? 中国に来る日本語教師は個性がはっきりしている人が多いので、それぞれのやり方・考え方で仕事をすればよいと思う。支持する学生がいるかぎりは自分に自信をもってやるしかない。「素養」というものとは違うかもしれないが、 私は○○人ということを必要以上に意識しないようにして学生には接している。 (2)中国の学生(日本語学科)について ①学生の勉強ぶりを教えて下さい。 日本の大学生(特に我々世代の)と比べれば、彼らはよく勉強する。少なくとも勉強している時間は長い。ただどうしても目先のことにとらわれがちで、長い将来を見据えて学ぶ姿勢に欠けているような気がしている。このへんのことは、多分その大学の環境や(嫌な言い方だが)レベルによって、きっと大きく違うのだと思う。 ②学生の学校生活を教えてください。 不自由な寮生活のなかでいろんなことを我慢して生活している姿を見ていると、健気だなという思いが真っ先にたつ。日本の大学生のようにサークルに興じたり、時間を融通してアルバイトをしたりということはここではほとんどない。卒業後、四年間の大学生活を懐かしむことがあるのだろうかと、時々気になる。 ③学生との交流の様子を教えてください。 教えているクラスの学生とはできるだけ均等にと思うと、どうしても交流の機会は制限され薄いものになってしまう。積極的な子はよく声をかけてくるが、こちらから声をかけないと遊びに来れない子もいる。5,6人の学生を呼んでカレーや日本の鍋を作ったり、彼らに中華料理を作ってもらったりという交流は日本ではまずないことだと思うし、これは本当に楽しい。 (3)中国で生活することについて ①中国で生活する楽しみについて教えてください。 これは不便さとの裏返しだが、朝起きてから夜寝るまで自分の自由な時間がある。好きな時に風呂に入り、好きなように飯を食う。ご飯がないときは、酒とちょっとしたつまみで代用する。身体さえ元気なら、こういう生活を数年続けるのはわるくない。 ②中国滞在中に旅行されましたか?その際に印象に残ったことを教えてください。 15年前に一年暮らした済南に行ってきた。街並みの面影は残っていたが、高層ビルが乱立し、道路は多く高架になっていた。中国の発展をまさに実感した。昔は街中を群れをなして走っていた自転車が、ほとんど見られなくなっていたことに驚いた。 ③その他、何かありましたら、教えてください。 日本にあって中国にないものをさがせば、当然いっぱいある。はじめはそれに物足りなさを覚えたりもしたが、実はその多くはなくなっても構わないものだった。夜市の賑わいや露店の食べ物など、楽しむ気になると、この国は毎日がお祭り気分である。 (4)日本語教師(IN中国)について、何かお気づきの点がありましたら、教えてください。 日本と中国の経済格差から、中国で日本語教師をする方の多くは、現役の仕事を一応終えた人だと思う。そういう立場でも、最近は再雇用や嘱託として仕事を続ける場合が多い。家族の問題、健康上のこと、それぞれ事情は違うと思うが、それまでとまったく違う生活を何年かしてみるのもわるくないと思う。 (5)最後に、センター派遣の日本語教師で良かったと思えることなどがありましたら教えてください。 中国の日本語教師には、いろいろなかたちで現地に赴任している人が多いことを最近知った。なかには持ち時数、給料面でかなり厳しい境遇にある人もいる。反対にセンター派遣よりも高給という個人契約もあるようだが、契約にはさまざまな項目があり、その全部を自分でやるのは大変な苦労だと思う。煩わしいことは全部お任せで、仕事に専念していればよいセンター派遣の日本語教師は、その点大変恵まれているといえる。 |
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