潍坊研修所で技能実習生を教えて
日本語教師 坂本 篤子
青島空港から車で2時間ほど走ると山東省潍坊市に着きます。潍坊研修所は市街地から少し離れた静かな住宅地に位置し、建物の3階に教室や宿舎などすべての施設設備があり、実習生と日本人教師はそこで24時間生活します。
昨年の10月から12月まで、私は技能実習生の入国前研修のうち日本語指導を担当しました。文法的なことは中国人の先生がテキスト「しんにほんごのきそ」に基づいて教え、私は発音と聞き取りの方面を重点的に受け持ちました。
実習生の年齢は18歳から40歳代までと幅広く、職業も様々です。それぞれの個性はクラス全体に活気を与え、授業を明るく楽しいものにしてくれたように思います。私は中国人の先生が教えた課をおさらいする形で授業を進めました。難しい文法は理解できても、聞き取りと発音はそう簡単なことではないようです。
そこで、一文の語順を入れ替えてみたり、同じ意味を持つ既習の別の語を使ったりして、繰り返し練習しました。わかると満足げの顔をし、質問に答えられないクラスメイトにはなぜ解らないんだという口調で激励の意味も込めて答えを教えたりします。
みんな面白がったり恥ずかしがったりしながら、良い雰囲気の中で勉強していました。
日本の文化や習慣についても話しましたが、違いは随所にありますから、実習生は何にでも興味を示します。とりわけ日常生活に関する話は、時に授業より熱心に聞き積極的に質問してきました。日本での生活をいかに楽しみにしているかがわかります。
夜の自習時間には、しばしば自分達の席に私を呼んで様々な話題で話しかけてきたものです。まちがいを恐れず習いたての日本語を使って一生懸命に表現します。次に行くクラスの時間に食い込んでしまうことが何回もありました。
また実習生は食事や掃除など日常生活の中で規律と礼儀を厳しく指導され、日々実践しています。そこには社会人としての自覚と落ち着きがあり頼もしさを覚えます。こうして日を追うごとに少しずつ日本語で会話ができるようになり、一人一人との距離が縮まっていきました。日本語の上達を見ることは勿論喜びですが、日本語を介して交流が深まることは何よりも嬉しいことです。
実習生の日本での技能実習生活が楽しく実りあるものになるよう願っています。
最後の授業で
寒風の中でも体育の授業
日本語上達しました
日本語勉強中
研修所での給食
みんなでラジオ体操!!