中国派遣日本語教師 | |
(1)日本語教師になるきっかけとなった出来事について具体的に教えてください。 若いころより、55歳をめどに勤めている会社を退職し、より直接的に社会貢献できるボランティアを行おうと思って準備して参りました。具体的に日本語教師を選択したのはインターネットで日本語教師養成課程の広告を見てからです。ですから確固たる意志を持って日本語教師をやろうと思って退職したわけではありません。その後、興味を持って日本語を勉強していたら、だんだん日本語教師をやってみたくなったんです。 (2)どんな学校で日本語を教えていますか。(あるいは、教えていましたか。) ・簡単に学校を紹介してください。(学校独自の校風や特色がありましたら、合わせて教えてください。)
(3)河北師範大学の日本語学科の学生たちについて教えてください。 ・学生の勉強ぶりを教えてください
・学生の学校生活について教えてください。(授業がある日の学生の一日についてなど)
・学生との交流の様子について教えてください。
(4)担当された授業において、寺元さんなりに工夫されたことを教えてください。(他の日本語教師と共有したい情報など。) 当初から、積極的な発言が無いことが問題だと思っていました。指名すると答えるんですが、自ら挙手しないことが問題であると思い、どうすれば積極的に口頭で質問や回答が発せられるか苦労しています。いろいろ工夫していますが、これと言って顕著な成果が出ているわけではありません。引き続き模索したいと思っています。 (5)日本語教師としてお仕事をする上で、大切にしていること(モットーにしていることなど)を教えてください。 『公平』をモットーとしています。先生は、よくできる子を可愛がっているという観念が染みついており、学校教育のマイナス要素の一つになっています。「外国人先生」は誰とも公平に接するよ、ということをモットーにしています。(日本では常識だよと言っていますが、本当のところを私は知りません。) (6)日本語を教える「やりがい」や「苦労」について教えてください。 苦労について。中国人の教師たちが、自分の授業で文法や、解釈を講義するとき、自分でうまく説明できない事柄に出会うと「日本語はあいまいです」のような情緒論や文化論でひとくくりの授業をし、学生に定着してしまうことに困っています。「待遇表現」や「ウチソト」などが理解できていないために、このような適当な説明しか行わないのだと思います。ひいては日本文化、日本人があいまいであるということにつながっていると思います。このことに懸念し、言葉を文法で説明し習得させるのに苦労しています。「時間を守らない」「約束が適当」のほうがよほどあいまいだと思うのですが。 (7)中国赴任中において、一番熱心に取り組んだことについて、教えてください。 日本語弁論大会を定着させたことです。3年前の抗日運動激しかった時、他では中止した所が多かった中でも開催できたことは自信を深めました。 (8)中国滞在中、授業以外にどのようなことをしましたか? 上述。他に各国の留学生と一緒に中国語の授業を受けています。文化を知るには語学の学習が一番だと思っているからです。もちろん有料です。習い事に「ただ」はいけません。
(9)中国で日本語教師として働いた経験から印象に残ったことがありましたら、教えてください。 相互留学協定を結んでいる学校へは毎年留学生を送っているのですが、日本側からは一人も来ません。環境問題などで学生の希望が少ないのだと思いますが、相互契約が履行できないなら破棄すべきだと考えます。契約があるのなら日本側の先生たちも努力して送り出すべきだと思います。我が校の日本留学希望の学生たちの親も、両国の現状を見て一様に反対します。しかし学校の説明、本人たちの情熱で親たちを説得して留学しています。 (10)中国で日本語を教えることに興味を持っている方にメッセージをお願いいたします。 特に中国、韓国での活動は、政治要素及び環境問題を取り上げ、不安をあおりますが、実際にはほとんど問題がありません。むろん日本に比べれば劣悪の環境ではありましょうが、ボランティア活動とは本来このようなものでしょう。自分で「何を食べても大丈夫な胃」「どのような空気を吸っても耐えうる肺」を鍛えて挑むべきです。私は中国でも環境が悪いといわれる地域で3年活動していますが、特に問題を感じておりません。条件面について、4,5000元位がスタンダードだと思いますが、これで、日本の家族を養い、家庭を運営するというには足りません。しかし、物価の差は通貨の為替比率以上にあり、工業産品以外(食品、サービス)は大変安く、国内から持ち出すようなことは全くないでしょう。私の場合、妻が年2度参りまして長期滞在を楽しんでおりますが、交通費を含めすべて賄えてあまりあります。 |
今回ご協力頂いた 寺元健二(てらもと けんじ)さんを紹介いたします。
元銀行員。会社経験を活かし、実践的な日本語(特に組織内でのコミュニケーション)に重きを置いた日本語教育を目指すべく勉強を重ね、日本、中国において日本語教師を経験した後、当センター派遣プログラムに応募。2012年度研修(当センター主催)修了後に、河北師範大学へ赴任。今年度で赴任4年目となる現在は、「これから高齢化社会を迎える学生の今後に役立つようなこと(介護の現場を想定した日本語を教えるなど)を行いたい!」と授業作りに力を注いでいます。また、現地の学校関係者や学生、日系企業と協力して開催する「石家庄日本語スピーチ大会」を成功させるなど、交流活動も積極的に行っています。 |
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