日中技能者交流センター、JCSEC

日中技能者交流センター
ライン

中国で日本語を教えて

日本語教師募集要項(2016年度版)

中国派遣日本語教師
寺元健二さん

(1)日本語教師になるきっかけとなった出来事について具体的に教えてください。

 若いころより、55歳をめどに勤めている会社を退職し、より直接的に社会貢献できるボランティアを行おうと思って準備して参りました。具体的に日本語教師を選択したのはインターネットで日本語教師養成課程の広告を見てからです。ですから確固たる意志を持って日本語教師をやろうと思って退職したわけではありません。その後、興味を持って日本語を勉強していたら、だんだん日本語教師をやってみたくなったんです。


(2)どんな学校で日本語を教えていますか。(あるいは、教えていましたか。)

・簡単に学校を紹介してください。(学校独自の校風や特色がありましたら、合わせて教えてください。)
 河北師範大学という一般的な国立総合大学です。日本語学科は隔年募集で1学年30人前後です。ですから、現在は1学年20人と3学年30人と少人数の学生です。3年生のうち7人は日本に留学していますので、更に少ない人数です。とても少なく、授業も密度が濃くなり、とてもやりやすいと思っています。設備は音響、インターネット等最新のものが整備されとてもよい環境下にあります。


学生との食事


(3)河北師範大学の日本語学科の学生たちについて教えてください。

・学生の勉強ぶりを教えてください
 出席態度などは日本の義務教育並みにまじめですが、勉強については上位2割がまじめ、6割が普通、下位2割が着いて来られないと言ったところでしょうか。

・学生の学校生活について教えてください。(授業がある日の学生の一日についてなど)
 全寮制で、6人程度の学生が同居している寮生活です。授業の後、繁華街まで同部屋の仲間と買い物や、食事に出かけたり、またスマホで映画やゲームに興じたりなど日本の学生と全く同じです。ただ、ファッションや、趣味については日本の学生に比べておとなしいように思います。アルバイトなども日本のように飲食や、接客業務は一般的ではないために、また、全寮制ということもあって、一般社会人との接触が少なく、あまり影響を受けていない、いわゆる学生らしい存在であると思います。全寮制で4~6人が一緒に生活しているのですが、部屋単位で成績の良し悪しに差が出てきています。類は友を呼ぶとはよく言ったものです。

・学生との交流の様子について教えてください。
 やはり授業についての質問や進路相談、テレビなどで集める日本の情報に関する話し合いが中心です。自宅に来ての食事会や、近郊へのハイキングなどによくでかけます。最近では、水泳を教えてほしいと言われ、近所のホテルのプールで教えましたが、水泳の経験のない学生たちはとても喜んでいました。新学期も続けようかと思っています。(まだまだ水泳などは授業の取り入れられてないんですね)


(4)担当された授業において、寺元さんなりに工夫されたことを教えてください。(他の日本語教師と共有したい情報など。)

 当初から、積極的な発言が無いことが問題だと思っていました。指名すると答えるんですが、自ら挙手しないことが問題であると思い、どうすれば積極的に口頭で質問や回答が発せられるか苦労しています。いろいろ工夫していますが、これと言って顕著な成果が出ているわけではありません。引き続き模索したいと思っています。


(5)日本語教師としてお仕事をする上で、大切にしていること(モットーにしていることなど)を教えてください。

 『公平』をモットーとしています。先生は、よくできる子を可愛がっているという観念が染みついており、学校教育のマイナス要素の一つになっています。「外国人先生」は誰とも公平に接するよ、ということをモットーにしています。(日本では常識だよと言っていますが、本当のところを私は知りません。)


(6)日本語を教える「やりがい」や「苦労」について教えてください。

 苦労について。中国人の教師たちが、自分の授業で文法や、解釈を講義するとき、自分でうまく説明できない事柄に出会うと「日本語はあいまいです」のような情緒論や文化論でひとくくりの授業をし、学生に定着してしまうことに困っています。「待遇表現」や「ウチソト」などが理解できていないために、このような適当な説明しか行わないのだと思います。ひいては日本文化、日本人があいまいであるということにつながっていると思います。このことに懸念し、言葉を文法で説明し習得させるのに苦労しています。「時間を守らない」「約束が適当」のほうがよほどあいまいだと思うのですが。
 やりがいとしては、このようなことをひとつひとつ説明することによって、だんだん理解を改めてくれることが体感できることです。


(7)中国赴任中において、一番熱心に取り組んだことについて、教えてください。

 日本語弁論大会を定着させたことです。3年前の抗日運動激しかった時、他では中止した所が多かった中でも開催できたことは自信を深めました。



(8)中国滞在中、授業以外にどのようなことをしましたか?

 上述。他に各国の留学生と一緒に中国語の授業を受けています。文化を知るには語学の学習が一番だと思っているからです。もちろん有料です。習い事に「ただ」はいけません。


旅行


(9)中国で日本語教師として働いた経験から印象に残ったことがありましたら、教えてください。

 相互留学協定を結んでいる学校へは毎年留学生を送っているのですが、日本側からは一人も来ません。環境問題などで学生の希望が少ないのだと思いますが、相互契約が履行できないなら破棄すべきだと考えます。契約があるのなら日本側の先生たちも努力して送り出すべきだと思います。我が校の日本留学希望の学生たちの親も、両国の現状を見て一様に反対します。しかし学校の説明、本人たちの情熱で親たちを説得して留学しています。
 このような片務的状況は長い目でみると、日中両国間の理解程度、人材の厚みに差ができて、将来取り返しができないことになると思って心配しています。一般論で学生の内向き論を論ずることより、このような具体的協定を一つ一つ実現させることが大切だということに気がついて、関係者の行動を望んでいます。


(10)中国で日本語を教えることに興味を持っている方にメッセージをお願いいたします。

 特に中国、韓国での活動は、政治要素及び環境問題を取り上げ、不安をあおりますが、実際にはほとんど問題がありません。むろん日本に比べれば劣悪の環境ではありましょうが、ボランティア活動とは本来このようなものでしょう。自分で「何を食べても大丈夫な胃」「どのような空気を吸っても耐えうる肺」を鍛えて挑むべきです。私は中国でも環境が悪いといわれる地域で3年活動していますが、特に問題を感じておりません。条件面について、4,5000元位がスタンダードだと思いますが、これで、日本の家族を養い、家庭を運営するというには足りません。しかし、物価の差は通貨の為替比率以上にあり、工業産品以外(食品、サービス)は大変安く、国内から持ち出すようなことは全くないでしょう。私の場合、妻が年2度参りまして長期滞在を楽しんでおりますが、交通費を含めすべて賄えてあまりあります。
 活動内容については、様々な情報ツールがありますので省きますが、「迷ったら」進まれるとよいと思います。
 私の大学では日本人一人です。しかし、すべての面で学校当局のサポートは完璧です。各国から来た外国人教師たちとの交流も盛んですし、不便、不安を感じることはありません。家族とのコミュニケーションもスカイプを使えば無料ですし全く問題ありません。しかし外国である以上日本との比較は無用に願います。日本での活動と同じ条件、同じ環境を求められる方は参加されないほうがよいと思います。
 そこで、興味をもたれた方は、センターを通じて現在派遣されている先生と連絡を取ってみることをお勧めします。また、実際に旅行方々、見学に行ってみるとよいと思います。百聞は一見に如かず、一挙に不安は晴れると思います。
 最後になりますが、有名な詩に「未識廬山真面目,只緣身在此山中」というのがありますが、外国に身を置くと、我が国や世界の景色が少し変わって見えるようになるのも利点だと思います。


今回ご協力頂いた 寺元健二(てらもと けんじ)さんを紹介いたします。
元銀行員。会社経験を活かし、実践的な日本語(特に組織内でのコミュニケーション)に重きを置いた日本語教育を目指すべく勉強を重ね、日本、中国において日本語教師を経験した後、当センター派遣プログラムに応募。2012年度研修(当センター主催)修了後に、河北師範大学へ赴任。今年度で赴任4年目となる現在は、「これから高齢化社会を迎える学生の今後に役立つようなこと(介護の現場を想定した日本語を教えるなど)を行いたい!」と授業作りに力を注いでいます。
また、現地の学校関係者や学生、日系企業と協力して開催する「石家庄日本語スピーチ大会」を成功させるなど、交流活動も積極的に行っています。

 

目次に戻る


外国人材の活用受入サポート
中国派遣日本語教師募集
日中友好協力基金
センターニュース
ご連絡先一覧
アクセス
リンク集

HOMEアクセスサイトマップホームページのご利用にあたってプライバシーポリシー