日中技能者交流センター、JCSEC

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中国で日本語を教えて

日本語教師募集要項(2016年度版)

中国派遣日本語教師
石脇千代子さん

(1)日本語教師になるきっかけとなった出来事について具体的に教えてください。

 日本語教育が始まった頃から、日本語を教えるということに関心がありました。
 通信教育で仕事の合間に勉強したりしましたが、そろそろ定年という時に、その後のことを考えるようになり、本当にやりたかったことをやってみようと思いました。


(2)どんな学校で日本語を教えていますか。(あるいは、教えていましたか。)簡単に学校を紹介してください。(学校独自の校風や特色がありましたら、合わせて教えてください。)

 私が教えていたのは、北京第二外国語学院(大学)です。北京市の東にあります。今、ニュースなどによくでてくる王毅外交部長(外相)が卒業した大学です。旅行関係を主に建学されたようですが、以前より日本語学科が全国的にも有名で地方では、今でもNO.1といわれているようです。中国人の先生方も30人弱いらっしゃいますが、そのほとんどが、ここの卒業生です。学術研究というよりも運用面に重きをおいた内容です。今、翻訳・通訳に力をますます入れています。1年次から同時通訳コースがあるのも特色かもしれません。こぢんまりした大学ですが、日本語学科は1学年100名弱、中国でも5本の指に入るくらいの大きさだそうです。現在は、北京市の管轄となり、北京市の学生が半数となり、地方出身の学生といろいろな面で二分された感じがします。


茶会
クラスごとに私の部屋でおこなったもの。1年生のクラスと撮りました。


(3)北京第二外国語学院日本語学科の学生たちについて教えてください。

・学生の勉強ぶりを教えてください。
・学生の学校生活について教えてください。(授業がある日の学生の一日についてなど)

 特に1年、2年の基礎段階での勉強量はかなりのものだと思います。週5日午前中はほとんど、日本語の学習です。基礎日本語、会話、聴解が主なものです。午後は、一般教養科目、空いている時間は勉強です。その合間に、サークル活動、学部対抗球技大会、ボランティア活動など多くの活動が待っているので、かなり忙しい学生生活。夜は、図書館、自習室、教室などで10時過ぎまで勉強しています。基礎日本語や会話の教科書はほぼ全部暗記しなければならないので大変だと思います。
 週末も、選択科目によっては授業が一日あったり、ボランティアに行ったりと2年生はとにかく忙しいと言っています。
 中国の大学では、朝運動場で音読をする週があります。学生が点呼をとり、教科書を音読しています。7時から7時30分までの30分。8時からは授業です。しかし、一年中、個人的に、教室、廊下、外のベンチで音読をする学生はたくさんいます。日本では、見たことがないけれども。

・学生との交流の様子について教えてください。
 こんな中で交流するのも大変。昼休みの時間(2時間あります)に、お好み焼きをみんなで焼いて食べたり、茶道の体験をしたりしました。時には、食堂で昼ご飯を一緒に食べたり、私の部屋で料理をつくったりしました。
 赴任直後は中国語も出来ず何も分からない私に同情してくれたのでしょう、毎週北京市内をガイドしてくれた男子学生もいました。おかげで、主だったところは全て周り尽くしました。半年お世話になりました。1年生のクラスと花見に行ったり、地方からの学生と北京1週間目で北海公園や王府井に行ったりと楽しませてもらいました。


学生との食事
生活部の学生と日本食レストランで


(4)担当された授業において、松下さんなりに工夫されたことを教えてください。(他の日本語教師を共有したい情報など。)

 二外は1クラスの人数(30名弱)も多いので、緊張感を持たさないと遊んでしまうのではないかと目を配りました。1年生のクラスは、日本語ゼロの学生ですから、それでもわかるものをいろいろ取りそろえてやっていました。幸い学生は、音読が大好きですから、音読、口頭練習、スキット、歌、日本紹介のVTR、ゲームなどを入れました。日本語を話すことを重点にしました。2年、3年の視聴の授業は自主教材でしたので、N1向けてのものと、内容把握などをしましたが、学生がのぞんでいるのは、「今の日本を知る」ことなので、ニュース番組などから日本を知ることに役立ちそうなことを選んで教材をつくりました。


カルタ
お好み焼きを食べたあとでの坊主めくり、カルタとり


(5)日本語教師としてお仕事をする上で、大切にしていること(モットーにしていることなど)を教えてください。

 日本語を教えるといっても、結局は「人と人とのつながり」だと思います。異なる文化習慣の中での仕事ですので、周りからの支えが無くてはやっていくことができない。ですから、先生方とも話すし、学生ともいろいろなことを話す。かなり、無理なことを言ってくる場合もありますが、出来る範囲のことは快く引き受けました。日本では、絶対引き受けないでしょうね。なんでも、締め切りギリギリですから。先生方も、学生も一生懸命にやっていると言うことを理解してくれたようです。それが、一番ですね。


専家楼
外国人専門家の宿舎私の快適な宿舎


(6)日本語を教える「やりがい」や「苦労」について教えてください。

 クラス全員が教師の方を向いて一生懸命勉強する姿は感動的。日本語ゼロからスタートして、半年もすれば、意思疎通が図れる程度に、1年すれば、ディベートができたりするのですから。その上達ぶりは、目に見えていて嬉しいもの。日本人教師はすくないので、スピーチコンテストの前などは、次から次と指導しなければならず、1週間夜9時過ぎまで学生とやっていました。でも、各学生が終了後に達成感を得た顔をしているのを見ると、苦労しただけの、やりがいを感じることができます。


教学楼
授業を行っている校舎


(7)中国赴任中において、一番熱心に取り組んだことについて、教えてください。

 やはり、教材の準備一言につきます。



(8)中国滞在中、授業以外にどのようなことをしましたか?

 授業以外は大学の職員向けの太極拳教室に半年と少しでました。言葉はわからないけれど、見様見真似でできるものですから。でも、意外に難しかった。職員の運動会で、50人の教職員と発表しました。
 あとは、北京市内の街歩きです。名所旧跡はほぼ行っていましたので、地元のタウン誌などに出ているところに行ってみたり、フートンのあたりを歩き回ったりして、楽しみました。国内旅行は一人で少し行きましたが、大学が外国人教師向けに企画してくれるツアーで、桂林や成都、青海などに行き感激しました。


旅行
大学が企画する外国人専門家むけの旅行6-7ヵ国の人が参加


(9)中国で日本語教師として働いた経験から印象に残ったことがありましたら、教えてください。

 1年目は、授業も人間関係も分からないことばかりで不安だらけでした。しかし、2年目以後は、少しゆとりもでてきて、中国のおもしろさを知ることができたと思います。
 不思議なこといっぱいの国です。外観が同じなのでつい同じ考え方をしているかと思ってしまいますが、全く違うことがたくさんあることを知ったのはよかったのではないでしょうか。


卒業式
式典前に卒論を担当した学生と


(10)中国で日本語を教えることに興味を持っている方にメッセージをお願いいたします。

 日本にいると不安要素ばかりが伝えられる中国です。確かに日本と同じようにはいきませんが、それも中国で暮らしたからこそわかることだと思います。学生の熱心な勉強態度には感動させられます。大学も日本人の先生をとっても大切に思ってくれて、気づかってくれています。中国で教えて「教える」喜びを実感した3年間でしたが、多くの人にぜひそれを味わってもらいたいと思います。


今回ご協力頂いた 松下澄子(まつした すみこ)さんをご紹介します。
元英語教師。20年以上も前から日本語教師という仕事に関心を持ち、日本語教育の通信講座を受講。「きちんと勉強して、中国の教壇に立ちたい!」と早期退職を決意。日本語教師養成講座を受講し、本格的に勉強を開始。その後、当センター派遣プログラムへ応募し、2012年度研修会(センター主催)を修了。北京第二外国語学院からの招聘(2012年9月〜)を受けて、3年間中国に滞在。当センターと中国国家外国専家局が共催する2014年度北京経験交流会では、派遣教師として日本語教育に関する実践報告を行い、他の教師から参考になると好評でした。

 

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