みずから考える人に 若者たちの成長を願って
東北電力大学創立70周年に思う
東北電力大学 若松 礼子
ここ吉林の秋は短い。中秋を過ぎると朝晩は10度を下回り、ぐっと涼しくなった。
日中30度の8月末に新入生を迎え学生数は2万人を超えた。9月7日に、新校区の入り口から会場のスタジアムの入り口まで案内係りの女子生徒達が赤のチャイナ服で何十人も等間隔に道に並び、創立70周年の記念式典が朝から華やかに行われた。先生方や多くの学生達が出演した晩会まで、たくさんの招待客とともに楽しませてもらった。実はその日、夕方から天候が悪化し、晩会は大雨の中で開催された。民族衣装が雨に濡れているのに、回るたびにふわりと丸く膨らんでいっそう美しかった。雨の中で出演した生徒はもちろん、見ていた私にとっても一生忘れられない晩会になった。いつも完璧なまでに演目をこなす学生達に雨に負けない拍手や歓声が広い校庭いっぱいに惜しみなく鳴り響いていた。
学生達はほんとうに勤勉で、そして素直だ。3年生でさえ、中学生や高校1年生かと錯覚するほどだ。全寮制で6人部屋に住む彼ら、彼女達は、皆、仲が良い。ウイチャットのモーメンツの会話はにぎやかだし、寮に遊びに来る時もたいてい4人以上で来る。6階の女子寮は西日で暑く、勉強は、図書館に行ったり、クラスの教室に行ったりする。
日本語教師1年目前期は、2年生と3年生の会話。後期は2年生の会話と3年生の写作。2年目前期は2年生の写作と3年生の会話。後期は2年生の写作と3年生の写作。そして今年、3年目前期は1年生の会話と3年生の高級会話を担当することになった。
「あいさつは、明るく元気に、いつでもどこでも誰とでも、先に自分から、次に一言あいさつしよう」の標語で3年生の会話の授業を始めた。その日の宿題に出した「『折句』による自己紹介」も、自分を表現する言葉をたくさん捜して2週目に発表してくれた。1年生の授業は10月1日の国慶節の後に始まる。はじめての1年生の授業を今から楽しみにしている。日本語を学んで良かったと思える授業になるよう工夫すべく準備をしている。
日本語を通じて、日本の文化や日本人のものの見方や考え方にふれ、良いところを取り入れ悪い点を反面教師として、中国の良いところと相まって、自ら考える人になってほしい。これからの国際人たる若者の成長の手助けがほんの少しでもできるなら、これ以上の喜びはない。定年後に私達夫婦にこのような環境をくださった財団に心から感謝している。
1年目前期3学年151組 会話授業の後で
2年目後期4学年153組 おそろいのTシャツで
2年目後期2学年171組 写作授業
2年目前期3学年161組 会話授業の後で
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