福建師範大学協和学院 澤村 真由美
2016年9月から大学の教師寮に住んでいる。毎朝6時に短音階のトランペットの音色で目がさめ、私の一日が始まる。華南東部に位置する福州は、山地の為か天候が変わり易く、体調維持には気温のチェックが欠かせない。4月から初夏と初春の極端な装いが交互に続き、5月はもう夏。マンゴーやパパイヤなど果物が豊富で、私は毎日2種類の果物を食べるのが習慣になっている。そのせいか一度も風邪をひいていない。大学へは徒歩30分の道のりだが、ハイビスカスやブーゲンビリアが咲き乱れる榕樹の並木道を歩き、いつもすがすがしい気持ちで通勤している。 協和学院は、福建師範大学の前身の教育方針を継承するために新設された学院である。学生への生活指導は徹底され、授業の出席率はほぼ100%、しかしパワーポイント中心の授業は教室を暗くする為か、授業中、携帯でゲームやメールをしている学生もちらほら。私もその都度注意をしたり様子を見るために机間指導することが多い。ただ学生は素直で割り切りもいいので、授業は比較的雰囲気がよく活気がある。 担当は3年の「精読」「現代文学」である。内容理解をスムーズにするために、新出単語の意味調べなど「予習」を徹底させ、頻繁にノートの点検をするようにしている。最初はあからさまにいやな顔されたが、習慣化により難易度の高い文章も理解でき、学生の成績は上々である。特に「現代文学」は、毎回ワークシートで「主人公の心理」等を順を追って考えさせているが、回答は十分要件を満たし、学生の客観的な分析力の高さが伺える。流石大学生である。グループワークで意見交換や相互評価などをすると結構盛り上がるので続けている。 授業以外では、学生とカラオケに行ったりしている。実は、歌も歌うが、日本語でのおしゃべりタイムと言った方がいいかもしれない。貴重な時間なのである。また、最近、別荘を貸し切ってのパーティにも招待され、学生手作りの郷土料理をごちそうになった。料理が上手なのには驚いた。至れり尽くせりのおもてなしも受けた。日本語教師にならなければ味わえなかった体験である。 この2年間で私の「中国人」に対する見方は随分変わった。真心は国境を越えることも。近い将来、若者たちは、「一つの地球」に向けて前進していけるだろうと期待したい。またそのような環境づくりも日本語教師の役割ではないだろうか。
教科の最後の授業で記念撮影
貸別荘でのパーティにて学生からのおもてなし
放課後のおしゃべりタイム
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