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日本語教師体験記

強者どもが夢の跡(2017/7/31)

石家庄学院 小原 隆俊

 スピーチコンテストが行われた音楽楼の前を通ってみると、先日の熱戦が思い起こされた。
 2年生の学生たちはよく頑張った。年上の学生や留学経験者に交じって堂々とスピーチをした。結果は4人の選手のうち、特別賞に2人、優秀賞に1人選ばれた。団体優勝こそ他校に譲ったものの見事な結果だ。
 「よくがんばりました。立派な成績を残しました。しかし、私が一番うれしかったのは、今日がこれまでで一番上手だったことです。」と話すと、「まだまだです。今夜から日本語の勉強をもっとがんばります。」と答えた。
 主力になるはずの3年生は企業研修に出て学校にいない。4年生はインターンシップに行っていない。だから、2年生が選手になるしかなかった。2年生は、日本語の勉強を始めてまだ1年半しか経っていない。しかも、入試の時の成績で不本意ながら入学してきた学生が多い。その2年生が何回も作文を書き直し、日本人らしいアクセントやイントネーションを身に付けた。そして、校内予選を経て選ばれた4人の強者に、いや参加した52人全員に心から称賛の拍手を送りたい。
 石家庄の日本語スピーチ大会は、5大学、2高校、参加選手25人ほどの小規模の大会だ。地元の日本企業がスポンサーになり、北京日本大使館や国際交流基金、またHRsDアジア財団が後援していて今年で6回目。大学で専門に日本語を勉強する学生は少ないが、アニメに興味があったり、日本に旅行したりしたいという若者が多い中国の日本語人気にあやかって、徐々に裾野を広げているように感じる。
 それに、反日デモ等が起きた第2回大会時は、会場も借りられずに大変な苦労があったという。そんな先人への感謝の気持ちを込めて僭越ながら引き受けた審査委員長としての講評の最後に一文を加えた。
 「ところで、皆さん。言葉って何のためにあるか考えたことがありますか。・・・そうですね。自分の考えを伝えたり、相手の考えを知ったりするためにあるのですね。
 でも、私はもっと素敵な答えを歌の中に見つけました。『言葉って、仲良くなるためにあるんだよね。』ですって。」
 今後もこの大会が裾野を広げることを願ってやまない。


『会場』石家庄学院北キャンパス音楽楼
『会場』石家庄学院北キャンパス音楽楼


『司会』3人が素敵なドレス姿で〜
『司会』3人が素敵なドレス姿で〜


『表彰式』着物姿の学生が案内や手伝いをしてくれました
『表彰式』着物姿の学生が案内や手伝いをしてくれました


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