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神の大同小異

 道教は中国の宗教で、中国の神話と神に密接な関係があります。道教の修業場は“道観”と言い、道教は天体の現象を観察しながら世の中の変化を推測する修業をするもので、これが道観の名前の由来と言われています。道観に入ると、正殿に三体の神があります。かれらは道教の創始者であり、中国人が宇宙の神秘を追求するご先祖様です。左から第一の神は盤古といい、天地開闢の祖といわれる神の名です。真ん中の神は玉帝で、右の第三の神は老子です。
 中国古代伝説上における中国人の母である女媧は、泥をこねて人をつくったといいます。また兄である伏羲と息子3人を生みました。一人は天国を管理させる、これは玉帝で、一人は人間を管理させる、これは皇帝といい、一人は地獄を管理させる、これは閻魔といいます。
 老子は幅広く知られています。老子は<道徳経>を書き残し、世界中の人々に愛読され、世界で最も印刷部数が多い書となっているし、道教は、また古代中国が国を統治する思想である黄老学の核心で、無為を貴び生を養う。
 インドから中国に仏教が伝来されてから、中国の従来の宗教である道教との衝突の歴史がありましたが、殆ど互いにいざこざがなく、融合の歴史のほうが長い。ご存じの<西遊記>は単なる神鬼、天国地獄の物語だけではなく、道教と仏教の世界です。出てきた人物は神か仏様か。
 孫悟空は天国を散らかした時、玉帝はこの手、あの手を尽くしてみたが、全部失敗し、やむを得ずお釈迦様のお迎えをお願いしました。これがつまり有名な五指山の話で、<西遊記>のはじまりです。<西遊記>の中で玉帝とお釈迦様が出会ったのはこれきりですが、どっちの神通力が強いか、延々と話題になっています。
 中国の寺院の配置は同じです。玄関に入ると太鼓腹を突き出し、胡坐をかいて天下の笑いごとを大きく笑い迎えてくれる弥勒菩薩、その背面に将軍姿の韋駄天菩薩が立っています。寺の中に一番大切な仏殿は<大雄宝殿>と称します。大雄はお釈迦様の別名で、意味は「天も動かす力をもっている」です。これはとても面白い逸話があって、宝殿の飾りにもなっていますが、ここでは省略します。<大雄宝殿>は三宝殿とも称します。中に入ると、ここにも三体の仏があります。左は薬師如来、真ん中はお釈迦様、右は阿弥陀仏。ですから、信者はお線香を奉げるときに、必ず3本を手にするのです。
 中国の道教は日本の神道に影響を及ぼしたか否かについて、日本の中にいろんな説がありますが、日本の学者福永光司氏などの研究結果では、中国の道教と日本神道は大きく違っているにもかかわらず、間違いなく日本の神道は中国道教からの影響を深く、広く、強く受けているとのことです。ご存じの通り、中国道教の中に八仙人があり、日本神道の中に七福神があります。七福神は日本宗教の中の神話ですが、そのうちの3福神は中国道教から来ているものです。
 日本の神道はほかの宗教と大きく違っていますが、経典、仙蔵、像などはありません。神社の中に剣、鏡、玉という三大神器を供えています。神道の三大神器と中国道教の供えている神器とよく似ています。神社の祭司は神主といいます。日本の神の神通力は無辺のものですが、妬みが強いことで、人間の願望を邪魔します。そのため、神社にお参りし、神主に大幣で頭の上を左右に払ってもらって二つ願いをします。一つは、邪魔を退治、一つは、今までの罪を払ってもらって無病息災を願うのです。神主は寺の住職と違って修業を課せられていません。住職は御経を読み、火の道を歩み、冷水を浴び、苦しい日々を送ります。目的は仏になり、来世のために修業をすることです。そのため、宗教だけで見ると、神道は現実主義なのです。

執筆者 申人

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