公益社団法人 国際日本語普及協会(AJALT)
地域日本語教育担当理事 関口 明子
皆様 こんにちは。「日本語学習支援者からのよくある質問」シリーズの第3回です。
<質問>
Aさん(34歳ベトナム女性)の職場の上司に女性と男性がいます。
女性と男性では日本語の表現が違っています。支援している私は男ですが、
Aさんに男ことばと女ことばをどこまで、どのように教えたらいいでしょうか。
<回答>
外国人の働く現場でも女性が増えています。滞日の技能実習生の男女比はほぼ半々になっています。
① 男ことばや女ことばは話せなくて大丈夫
「今日は3時から班長会議があるのよ」、「時間がないぞ、早くしろ」等の表現は丁寧ではないので、「今日は3時から班長会議があります」「時間がないので、早くしてださい」のように男性でも女性でも使える表現が言えるようになったらいいです。日本語母語話者と違って、外国人にとっては男女の違いのある表現をその場に合った形で話すことは難しいです。状況によっては相手に失礼になります。
② 男ことばや女ことばは、聞いて意味が分かるようになってください
Aさんは上司の方々からの指示や説明の意味が分かる必要があります。いろいろな言い方を聞いて、慣れて、理解ができて、行動できることが求められています。
そこに 置いてください そこに 置かないでください
そこに 置いてくれ そこに 置かないでくれ
そこに 置いてちょうだいね そこに 置かないでちょうだいね
そこに 置いてくれる? そこに 置かないでくれる?
そこに 置いてね そこに 置かないでね
そこに 置いて そこに 置かないで
そこに 置け そこに 置くな
左記の表現はいろいろ違ってはいますが、左側は何かを置くように指示しています。右側は置かないように指示しています。しないように指示するときは「な」が入っていますね。「触るな」「押さないで」のように。
学習者がこの一連の表現が同じ意味だということが理解できるようになることが大切です。そのためには教室でこのいろいろな表現の形で具体的に指示を出して学習者に行動してもらってください。
日本語支援者としては、その学習者がどのような現場でどのような表現を聞いて理解して行動しなければならないかを、情報として知っておくことが大切です。可能な場合には、現場を見学させてもらったり、学習者の上司にお話を伺ったりしたら、より効果的に日本語支援が可能になると思います。
●外国人技能実習生向け日本語教材
「あたらしい じっせんにほんご 技能実習編」のご案内
職場の安全や指示の理解、円滑なコミュニケーションに必要な日本語が短期間に身につく教材。実習職種の多様化や女性研修員の増加に対応。漢字仮名交じり総ルビ表記。巻末にはカラーの絵入り分類語彙表があり、著者AJALTのサイトから各課準拠の絵カードもダウンロードできます。
■別冊翻訳語版 ■補助教材
中国語版 れんしゅうちょう
英語版 かなワークブック
ベトナム語版 コンパクトディスク
インドネシア語版 研修生のための文法入門 中国語版
※詳細は
AJALT(公益社団法人国際日本語普及協会)のサイトをご参照ください。
|目次に戻る|