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日本語教育・再考(Web版)

 

技能実習生や働く外国人に対する日本語指導を考える〈その7〉
~『あたらしいじっせんにほんご』を教科書に使って教える4~(2013年11月1日号掲載)

公益社団法人 国際日本語普及協会
地域日本語教育担当理事 関口 明子

 前回(「『あたらしいじっせんにほんご』(以降、本冊)を教科書に使って教える」1〜3)までで、1課の「1くちならし」「2しつもんにこたえる」「3くりかえしいっておぼえる」「4はなすれんしゅう」に沿って具体的に授業の進め方をご紹介してきました。各課も同様に進めてください。
 今回は最終回ですので、その他に触れておきたいことを記します。

1 えいりぶんるいごいひょう(絵入り分類語彙表) 本冊P145〜P202 
 フルカラーでイラストや写真が沢山載っています。あいさつ、おかね、しょくじ、たべもの、のみもの、ゆうびん、ぶんぼうぐ、そうじようぐ・みのまわりひん、でんきせいひん、だいどころ、ふろば・したぎ、うち、いふく、さぎょうふく・こうぐ、きかい・どうぐ、しょくぎょう、じむしょ、みせ、こうきょうのしせつ、たてもの、てんき・さいがい、しぜん、きせつ、スポーツ、からだ、のりもの、せいかつのなかのもじ、どうし、けいようし、せかいちず、にほんちず 計36項目が絵事典のように載っています。
 本教科書以外に教材が何もなくても、これだけのイラストと写真が載っていますので、会話を進める上で頼りになる教材になります。翻訳語版には訳語が載っています。

 例えば、教師が「P152を開けてください」と学習者に言います。学習者がその頁を開いたら、教師が「どんな飲み物が好きですか」と聞き、学習者はその頁に載っている沢山の飲み物の絵を見ながら、「ビールが好きです」等と答えます。学習者同士でも質問し合います。
 「せいかつのなかのもじ」P184 〜191には、日々の生活に必要な文字、自分自身の身を守る文字などがたくさんあります。入口、出口、精算所、危険、火気厳禁、立ち入り禁止等々です。例えば、漢字圏の学習者の場合は、「たちいりきんしだぞ」と言われたときに、音だけで理解できないことが多いようですので、日本語の読みをしっかり覚えるようにします。一方、非漢字圏の学習者の場合は、漢字というよりは、デザインや図形のような認識で、これらの文字を全体的に捉えるようにします。翻訳語版(2で説明)で訳を調べ、意味と形がわかればいいのです。
 まずは「立入禁止」のカードを見て、「ここに入ってはいけない」という意味を理解すればいいです。非漢字圏で初歩レベルな日本語学習者であっても、ぜひこのような形で早い時期からの学習をお勧めします。

2 翻訳語版
 中国語、英語、インドネシア語、ベトナム語の4か国版があります。本冊とペアで使ってください。
 例えば、上記「1えいりぶんるいごいひょう」の「せいかつのなかのもじ」本冊P189の「火気厳禁」の学習であれば、表に「火気厳禁」と書き、裏に学習者の母語で意味を書いたカードを作り、毎回授業で確認し、少しずつカードを増やしていくといいです。漢字圏の場合は、必ず大きい声で読む練習もしてください。
 また、「はなすれんしゅう」の会話を勉強する時には、まず学習者に翻訳語版の同じ会話の頁を開けてもらい、その会話を全部母語で読んでもらい、学習者全員で会話の内容を理解します。
 その後すぐに翻訳語版の冊子を机の中に閉まって、日本語本冊のみを使って勉強を進める方法がいいです。
 上記の別冊翻訳語版の他に、『かなワークブック』『文法入門書』『指導員用参考書』『カセットテープ』があります。ご活用ください。
 これで『あたらしいじっせんにほんご―技能実習編』の指導方法についてのお話は終わります。具体的にいろいろご質問がございましたら、AJALTにお寄せくださればお応えできるかと思います。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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