公益社団法人 国際日本語普及協会
地域日本語教育担当理事 関口 明子
では、1課からはじめましょう。各課の構成は決まっています。「1くちならし」「2A しつもんに こたえる B よくきいて そのとおりにうごく」「3くりかえし いって おぼえる」「4はなす れんしゅう」になっています。
1 くちならし
文字通り口慣らしが目的なので覚えることを目的としていません。9課まで毎回「数」の口慣らしが続きます。日本語の音やリズムに慣れることが目的です。教師が自然の速さで言い、その後学習者は同じように言ってみる。覚えようとしない方がいいです。自然と慣れて口から出てくることが大切です。「数」は技能実習生や働く外国人にとっ
て生活や仕事には切り離せない重要なものです。その日が5課に入る日でしたら、1課から4課までの「くちならし」を全て練習してから新しい「くちならし」に入ります。日本語の2拍子のリズムに乗せて「いち、にっ、さん、しっ」と元気よく練習しましょう。新しい課の「くちならし」に入るときは、電話番号なら携帯電話、時間なら時計、日付や曜日のときはカレンダー、「~つ」のときはボビンケースやビスなどのそれぞれの専門に使用する実物などをもってきて学習すると理解もはやいです。10分程度でいいですから毎回継続してください。この「くちならし」は、VT法(ヴェルボトナル法)(注1)をもとに考えました。
2A しつもんに こたえる
1の「くちならし」で練習した数字を使ってコミュニケーションを試してみるところです。ここも、覚えることよりも慣れることが目的です。教師と学習者、学習者と学習者で質問をし合ってみましょう。この時、前号で説明した黒板にある「ともだちことば」と「ていねいなことば」の絵カードを指しながら練習します。黒板に電話番号の数字をいくつか書きます。教師が黒板の数字を指して、教師「~さん、電話番号は何番」(ともだちことば)学習者「03の3459の9620です」(ていねいなことば)
この練習を一通り全学習者と行います。次に教師から学習者、学習者から教師、学習者同士で実際に本人の電話番号を聞き合います。
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