技能実習生送出し機関でビジネスマナー講習を開催
6月7日〜8日、ベトナム国で2つの送出し機関の幹部、教官、職員、約100人を対象に当財団主催のビジネスマナー講習を初めて開催しました。本講習はビジネスマナーの重要性を送出し機関に理解してもらい、ベトナムにおける技能実習生の講習に活かしてもらうことを目的として開催しました。
今回は当財団から、増山ちとせ特任講師と永井秀治常務理事が訪問し、初級から中級レベルのビジネスマナーについてロールプレイング(役割演技法)を中心に行いました。講習終了後のアンケートでは参加者から好評をいただき、今後、食事時やメール送信時のマナー、積極的な思考や商談・面談の仕方等について開催して欲しいとの要望が出されました。
(講習風景は近日ホームページに掲載予定です)
永井常務理事による 講習開会時のあいさつ(抜粋)
今日ほど、ビジネスマナーが重視されている時代はない。市場には多くの商品や情報があふれている。そこで、他との差をつけるのは「人」である。 |
ビジネスマナー講習のメニュー 2時間30分程度 |
熱心な表情の参加者
ロールプレイング(あいさつ)
石家庄日本語スピーチコンテスト開催
石家庄学院 教師 竹川 詩子
北京から高速鉄道で、1時間余り、河北省の省都である石家庄は、人口1千万人を擁する都市であって、日本人も少ないながら、日本語学科を選択して学ぶ学生は多い。石家庄スピーチコンテストは、河北省で唯一開催され、日系企業も協賛し、今回で8年目となる。
市内の5校の大学と1校の中等学校(日本の高校にあたる)の23名が参加した。コンテストの特徴は、運営を各学校の学生ボランティアに任されていることである。毎年初メンバーなので、経験の無い学生にとって企画運営は至難の業である。私たちにとっては、会場設定、予算計画、商品選び、時間設定など日常的に行って簡単に思えることも、経験のない学生が、それぞれのメンバーに意思を伝え理解させ、企画を予算案とともに提出するのは並大抵のことではない。もちろん私たちもサポートに回るが、微妙な意思確認が難しく、私自身もスピーチの指導よりも運営面でドキドキしながら当日を迎えた。
コンテストでは、「心に残った言葉」「残しておきたい中国の伝統」の2つの課題が提示され、1人3分間の持ち時間でスピーチを行い、1分間の質疑応答に答える形である。学生の発表を聴き、中国の学生の「今」が見えた気がする。「こころ」を触れ合わせるひと言に感動する気持ちを持ち、親の気持ちが分かるひと言にうれしさを感じた。「伝統的な習慣や行事を残すためには自分たちに何ができるのだろうか」「漢服に込められた先人の教え」「方言があることで多様な劇の存在がある」など内容的にも聞きごたえがあった。
当日の司会進行もビデオやカメラ撮影も学生ボランティアが当たり、日程の急な変更もあったが、大盛況に終わることができた。今回のスピーチコンテストを通して、何より、イベントに携わった40名近くの学生ボランテイアが進んで交流を深め、話し合いを行い、満足感を得ていたことに成長を感じ、この活動の意義を感じた。イベントに携わった者は、卒業後の仕事にもこの経験をきっと活かし、今後、市内の学校間の交流もますます盛んになっていくに違いないと感じている。学生達の成長を追えたスピーチコンテストであった。
石家荘スピーチコンテストは当財団も毎年後援しています。
日本語で語りかける出場者
学生ボランティアが司会を
泉理事長に加え、新井副理事長も代表理事に就任
第20回評議員会において承認された当財団定款の変更にともない、第31回理事会がいわゆる書面決議によって開催されました。8月1日、当財団の事業執行体制強化のため、泉雄一郎理事長に加え、新井力副理事長を代表理事とすることが承認されました。
漢服ブーム
うちの娘は高校2年で、3年前から漢服が好きになり、たびたび漢服を着て学校の音楽祭に出た。父親の私には漢服費用はまた余計な負担になる。
日本人にとって中国の伝統的な民族衣装として、まず思い浮かべるのは旗袍(チャイナドレス)かもしれない。しかしチャイナドレスはもともとは満州貴族の衣装「旗装」から改良し、1920年代頃から洋服の製法を吸収して定着した民族衣装。一方の「漢服」は「漢民族伝統服飾」の略。つまり、「漢民族が着ていた服=漢服」ということになり、時代ごとにそのデザインが大きく異なる。しかしどの時代の漢服を見ても、そこから日本の各時代の民族衣装が少なからず影響を受けていたことが見て取れる。
漢服人気は現在高まる一方だ。休日の都市の大通りや路地、特に人気観光スポットでは、漢服を着て出かける人が増加の一途を辿っている。その見た目の良さから漢服に魅せられた人がいる一方で、漢服の背後にある奥深い文化の虜になった人もいる。
漢服に関心を持ち始める若者がますます増え、メンバーのほとんどが13歳から25歳の若者だ。漢服文化に夢中になっている人もいれば、シンプルにその美しさに魅了されている人もいる。漢服は、単なる衣服ではなく、文化的記号のひとつでもあり、漢服には民族文化が内包されており、文化復興の一部でもあると私は思う。
漢服の注目度と影響力が高まる原因として、ますます多くの専門家が介入し、漢服産業の発展をさらに促進する役割を担うようになった。また、民族文化や伝統文化の復興がますます重視されるようになったことも、漢服の発展を後押ししている。
今日から学生の夏休みに入り、娘はまた漢服屋さんをぶらぶら歩くだろう。私の余計負担?(魯人)
漢服をまとった中国女性(私の同僚からお借りした写真)
地方駐在員だより
札幌で夢追う実習生
北海道駐在 吉澤 吉雄
昨年より北海道駐在の任についています。
2018春寒の4月、中国山東省より3名の女性実習生を迎えました。
初めて技能実習生を受け入れる札幌事業所は宿舎の手配、通勤自転車やテレビの寄贈など生活環境支援に取り組み、更には焼肉屋での実習生の歓迎会、円山公園の花見、初級試験合格祝い、クリスマスケーキや雪まつり見学など、所長が日頃話される北海道の風土や環境に慣れてもらい「この工場に来てよかった」という支援を頂いています。
職場の方々の優しさが実習生のコミュニケーション能力を高め、仕事のやる気や日本語上達の秘訣になっているようです。7月には日本語N3検定に挑戦!
彼女たちは、雪降る早朝の出勤、自分だけの足跡の影、故郷にないそんな札幌が好きと言います。これからの目標は?と聞くと、「これから2年間も楽しく仕事をします」との答え、北海道札幌で夢を追う彼女たちに新米駐在員としてサポートしていきたいと思います。
初めて見るスキー場にて(札幌テイネハイランド)祁さん(左)、潘さん(右)
一ツ橋
中国国家外国専家局(専家局)が中国科学技術部(科技部)に統合されたのは2018年3月でした。それから1年半のブランクを経て、当財団と科技部外国専家服務司は、日中の人材育成と友好協力関係を促進するための新たな協議書策定の作業を進めています。
9月にはこれを発効させて、ポスト専家局の新たなパートナーとともに日本語教育をはじめ以前にも増してより広範で重層的な事業展開の視界が開ければと期待しています。私たちにとって、新しいパートナーシップの出発は、まさにこの夏のハイライトです。
ところで夏と言えば、今年は学校が夏休みに入ってからも長雨と気温の低い日が続いていました。冷夏と思いきや、梅雨明け後には一転酷暑が襲っています。この変則的な季節を乗り越えるために、みなさまに涼味と思索にあふれる短歌一句をお贈りします。どうぞご自愛ください。
「夕焼けをおつまみにして飲むビール一編の詩となれこの孤独」(「滑走路」萩原慎一郎)(t.a)