2018年度 第2回監査会議を開催
コンプライアンス(法令遵守)に基づく事業展開を再確認
第2回監査会議では、今後の技能実習事業の進め方として「コンプライアンス(法令遵守)に基づく事業展開」を共通認識としつつ、新法施行後の対応についての考え方が示され、参加者から活発な意見や要望が出されました。
7月26日、午後1時30分から、当財団本部において全国から地方駐在員の皆さんが参集し、第2回監査会議が開催されました。
初めに泉新理事長から、今回発生した集中豪雨により被災された受入れ企業様、実習生の皆さんに対しお見舞いを表明した後、政府の「骨太の方針」に盛り込まれた外国人就労者の拡大など技能実習事業を取り巻く環境について情勢報告がされ、「現在が組織的な転換点であること、特にコンプライアンス(法令遵守)に基づく事業展開を行うこと」などが強調されました。
次に山口常務理事から技能実習事業の現状と今後に向けての考え方を、黒沢理事からは実習実施者(受入れ企業)が備えるべき書類について提案されました。
また、奥浦参与から前回に引き続き新法に対応した監査の方法とマニュアルの周知が図られ、会議の後半では各地方駐在員からの報告と意見交換が行われ会議を終了しました。
翌日には永井常務理事による外国人技能実習機構への申請書類作成にあたっての留意点についてワークショップを行い、2日間の日程を終了しました。
監査会議は泉理事長の挨拶から幕を開けました
2日目は実践的なワークショップを開催
公益財団法人 日中技能者交流センター
理事長 泉 雄一郎
日中技能者交流センターは、1986年の設立以降、中国の労働組合中央組織である「中華全国総工会」傘下の「中国職工対外交流中心」、日本の厚生労働省にあたる「中国人力資源和社会保障部」の「国際交流服務中心」、中国内外の専門家の派遣と招聘を主たる業務とする「中国国家外国専家局」の3組織と連携を深めながら、日本語教師の派遣や技能実習生の受け入れ、国内受け入れ企業との連携強化など、事業を拡充してきました。
この間、技能実習生の送り出し国は、ベトナム、カンボジア、フィリピンへと拡大し、グローバルな事業展開に伴い、創立30周年を契機に「HRsDアジア財団」の通称名も使用しています。
これからは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(2017年11月施行)の趣旨に則り、優良監理団体の資格を取得した財団として、いっそう信頼を得られる事業展開が求められています。
「ひととつながる」「ひとをささえる」「ひとをそだてる」
私たちは、これら理念のもと、技能実習制度を活用したアジアの若き人材の育成と技術移転、日本語教育のさらなる推進と向上、相互理解を促進する働く者の国際交流等、情勢に適応しながら、諸事業の推進・発展に努めてまいります。
みなさまの変わらぬご支援とご協力を心からお願い申し上げます。
公益財団法人 日中技能者交流センター
顧問 人見 一夫
皆様方におかれましては、ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は特段のご芳情を賜り深謝申し上げます。
さて、私こと、このたび弊財団理事会/評議員会において、代表理事/理事長を退任いたしました。
理事長在任中は多年にわたり一方ならぬご懇情を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
後任の泉雄一郎氏については私同様、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら御礼かたがたご挨拶申し上げます。
日本語教師中国派遣事業の協議書を締結しました
日本語教師の中国派遣は、今年が協議書の改定時期にあたります。通常でしたら中国国家外国専家局との締結を予定しておりましたが、3月の中国政府の機構改革の影響を受け、専家局自体が同じ国務院内の科学技術部に統合され、未だに事業の方針、組織体制、人事等が定まらない状況が続いております。
そのため、今回は、1年間の暫定処置として、専家局の委託を受けて、実際に中国教師派遣事業の実務を担ってきた専家局傘下の民間企業である「中国対外人材開発諮詢公司」と協議書を締結することとなりました。
協議書は、新井副理事長と髙岡職員が訪中し、8月2日に北京専家大厦にて結ばれました。
協議書の期限は、1年間。内容は、既存のものをベースにしています。変更点としては、北京経験交流会の中止と、延長・再派遣部分の削除等がございます。
2018年9月から2019年8月の1年間は、当財団と中国対外人材開発諮詢公司で、中国派遣日本語教師事業に関しては対応してまいります。
今後につきましては、中国サイドの状況を踏まえながら対応してまいります。
また、今回の訪中では、中国職工対外交流中心と中国人力資源和社会保障部国際交流服務中心との事業協議も行いました。
中国対外人材開発諮詢公司との協議
協議書を調印しました
地方駐在員だより
閉講式
岐阜駐在 國枝 敏勝
毎日、記録的猛暑が続いている中、最高気温報道で多治見市をはじめ毎日名前が出ております岐阜県で、2018年2月から駐在をさせて頂いております。
岐阜駐在の事務所は岐阜研修所(入国した実習生が1ヶ月間日本語及び日本の生活習慣等を学んでいる)の教員室内にあり、毎日スクールの先生方と実習生のやり取りを拝見し、1ヶ月で企業に送り出す先生方の苦労及び努力を身を以て感じており、配属先企業での実習生のフォローを重要に思う次第であります。
又、実習の最後には「閉講式」があり、一般の学校で言う「卒業式」でありますが、「配属企業の担当者」「当財団本部の役員」「先生方」「通訳」「駐在員」等が出席し、「実習生への修了証書の授与」「実習生全員での日本の歌(ふるさと)の合唱」等があり、感動させられました。
今後とも、先生方とともに、実習生を温かく見守って行きたいと思っています。
岐阜研修所の教員室にて
第8回「友の会カフェ」開催
中医学で夏に負けない体調の維持を
2018年7月19日(木)、当財団会議室を会場にして、第8回友の会カフェを開催いたしました。
今回は、第6回カフェ(2018年3月開催)で「中医学と健康~元気で長生き~」をテーマにお話しいただき、好評だった中医学のプロフェッショナルである王少麗先生(元中国長春中医学大学副教授)に講演いただきました。
当日は「肩こりと冷え性対策について」をテーマに、中国医学の観点から、症状・タイプ別に合った食事・漢方・ツボなどの対処方法を教えていただきました。
参加者の皆さんからも「具体的かつ実践的な対処方法でとても良かった」等の感想をいただき、好評を得られました。
王先生のお話に熱心に耳を傾ける
中国研修所への日本語教師派遣を再開
当財団の2018年度事業計画では、外国人技能実習生の日本語能力向上を支援することとしています。
この計画の具体化として、現在、日本語教師を中国送り出し団体の研修機関へ派遣する準備を進めています。日本語教師の研修所派遣は、諸般の事情により数年前に中止されていましたが、今後1年程度の実証期間を経た上で本格的に再開する予定です。
派遣先は、中国人社部国際交流服務中心濰坊研修所、対象は当財団に登録した日本語教師、派遣期間はビザの関係から3ケ月間、通年で教師が濰坊に駐在する状況を作ります。派遣条件を整備の上、希望者の事前登録を別途行います。
お問い合わせは、当財団日本語教師担当(03-5212-2535)まで。
派遣教師からのおたより
中国の高校生に日本語を教えて
貴州省六盤水市第三中学校 川 貞夫
2017年9月から1年間、貴州省六盤水市第三中学校の高級中学(高校)で日本語を教えました。生徒数は約5,000人。全寮制ですが、3割程度は家から通学していました。三中は市の中心から離れた丘陵にあり、敷地が広く、孔子像をしつらえた中国式庭園があり、授業の行き帰りにそこを歩くのが楽しみでした。制服は学年ごとに統一された質素なジャージの上下で、その姿で授業も寮での生活も過ごします。
生徒の日課は、2時間半の外出自由な昼休みがありますが、7時40分開始の「早読」から午後6時終了の8時限まで授業です。夕食後、さらに7時から教室での夜自習があり、生徒たちが寮に引き上げるのは11時です。土曜は午前授業、日曜は夜自習があります。日本に比べたら、自由のない生活です。しかし、生徒たちは、純朴で人懐こく、自分が日本で英語を教えていた高校の生徒たちと良く似ています。
英語以外の外国語(小語種)の選択は、高校入試の英語の成績によるため、小語種を取ることが不本意の生徒もいます。小語種は、三中では、日本語のほか、仏語・独語・西語・露語が選択できますが、日本語選択者が圧倒的に多く、日本語の人気を感じました。小語種を選択した生徒は、高考(大学入試のための統一試験)も、その外国語で受験します。
中国人の日本語教師が4名、日本語学習者は3学年合計で260人ほどです。教科書を覚えることが中心で、生徒は会話に苦手意識を持っていました。学校からは聞き話すことの指導を要望されました。授業は、1人で行い、教材も自作です。
1年生は、発音、挨拶、教科書の文型の口頭練習などが中心でしたが、2年生は理解力がかなり付いているので、私の話す日本語を聞き取り、質問に答え、元になった文を音読する活動をしました。日中の文化の違いから、高校生活の違い、六盤水の将来のために何ができるかということまで教材にしました。
生徒たちは、大きな声で音読し、質問には良く手を挙げ、板書を求めると争うように前に出て答を書きます。定期試験が目前の時は、別の教材を開きながらも、私の方にも目を向けていてくれました。
最初に公園や街に連れて行ってくれたのも生徒たちです。また、帰国前には送別会を開いて、歌や芸を披露し、日本蕎麦まで作ってふるまってくれました。
3年生は直接には教えませんでしたが、「高考」に作文があるので、毎月2回、ほぼ全員の日本語作文を添削しました。
国が違い言葉が思うように通じなくても、日本語を教えることで、心を通わすことができることを知った1年でした。
校内:孔子像のある庭園で (背景は寮)
校内:学習棟
パワーポイントを使った授業の様子
一ツ橋
政府の「骨太の方針」において、外国人労働者の受け入れ拡大方針が決定された。新たな在留資格をつくり、2025年度までに50万人の受け入れを目指していくようである。この方針をめぐり是非論を含め、多くの意見が出されている。背景にあるのは、少子高齢社会の進展により加速度的に労働人口が減少していることに対する危機感からである。その対策の一つとして、今回の政策を否定するものではないが、技能実習に関わる者としては技能実習制度の本質が歪められるようなことがあってはならないと考える。実習生の保護の観点からも、きちっとした制度づくりとその適正な運用を望むものである。(k.a)