国際交流服務中心介護研修団訪日
~日本の介護は心がこもっている~
2017年11月1日から新しい技能実習制度が施行され、介護職が新たに技能実習の取り扱い職種とされました。この施行を受け、HRsDアジア財団は本年1月、介護職を取り扱う資格を得るため監理団体の「事業区分変更許可申請」を外国人技能実習機構に行い、2月19日に許可されました。
こうした中で、1月29日、中国の送り出し機関である中国人力資源和社会保障部国際交流服務中心(以下、人社部服務中心)から介護研修団が来日しました。介護研修団は中国各地の人社部服務中心傘下の公司幹部ら10名で構成され、日本の介護の実態を身をもって体験することを通じて、介護実習生を送り出す際に求められる人材を検討するために来日したものです。
研修団は、1月30日、HRsDアジア財団事務所内で介護福祉士の資格を持つ伊東寛参与による「日本の介護制度」「技能実習制度の介護職について」の事前講習を受け、同日、実務研修の地である滋賀県彦根市の「社会福祉法人 近江ふるさと会」(大久保昭教理事長)が運営する二つの施設に向かい3泊4日の実務研修を行いました。
研修団は、二つの特別養護老人ホーム施設(ふるさと園)に分かれ、ふるさと園の職員の指導の下、「食事」「入浴」「排泄」の3大介護実務に取り組みました。研修参加者は、家族身内ではない他人の体に初めて接触することには抵抗感があったようですが、ふるさと園の職員が、絶えず笑顔で高齢者の介護をする様子に感心していました。
2月3日の総括会議では、研修団は一様に日本の介護技法、施設設備の優れていることに驚嘆すると共に、何よりも職員の高齢者に対するきめ細かな配慮に感心していたと語っていました。
今後、今回の研修団の経験を受けて、技能実習における介護職の可能性について人社部服務中心とHRsDアジア財団との間で引き続き協議、検討していくことにしています。
王団長(中央) 研修総括会議にて
近江ふるさと園の研修担当者との顔合わせ
付主任、東処長も同時に来日
介護研修団の来日に合わせて、中国人力資源和社会保障部国際交流服務中心の付躍欽主任と東紅処長の2名が、1月28日に来日し、29日には当財団との業務会談を行いました。
30日からは、研修団の研修会に参加し、31日には、研修団と共に近江ふるさと園を訪問しました。日本での任務を終えた両名は、2月1日に関西空港から帰国しました。
服務中心・付主任も共に伊東参与の講習を受ける
2018年HRsDアジア財団の目指すもの
人材育成を軸にした事業計画を策定
3月の理事会に提起
私たち財団の様々な活動の財源は、技能実習事業によって支えられています。
おかげさまで、2017年度には予算の算定基礎となる受入れ実習生数を超える見込みです。これは、優良監理団体の資格取得と相まって、持続可能な組織を目指す私たちにとって明るい先行きを予見させるものでした。しかし、11月の新法施行に伴い爆発的に作業量が増大する中で書類作成作業が遅れ、この結果、一部の実習実施機関(受入れ企業)には、ご迷惑をおかけすることになってしまいました。
私たちは、遅れを取り戻すべく全力を尽くしていますが、2017年度から2018年度に至る過程は、事業展開の在り方や働き方、事務局体制について問われた時期でもありました。ですから、それらをもう一度見直す中から各方面の「集中」と「選択」を進めなければならないと考えています。
組織的な潮目は、財団の長い歴史の中に何度かありました。私たちは、諸先輩がそうであったように、次のフェーズに向かう潮目を、オールセンター体制で、注意深く、かつ大胆に、そして確実にわたって行こうと考えています。
こうした状況認識の下に、18年度事業計画策定の作業が進められています。。
人材育成を軸に18年度事業を展開
人材育成の視点を各種事業の中心に据え、母国で活躍する人材の育成によりアジア各国で働く者の福祉と生活の向上に寄与することを目指します。
1.外国人技能実習事業
実習事業の全体にわたって調整を行う「実習事業調整委員会」を機動的に開催し、諸課題に迅速・的確に対応します。「委員会」は、技能実習制度を活用した人材育成をベースに、①「コンプライアンス」②実習実施機関に関わる「要件」、③「コストパフォーマンス」を各判断の基準と考えています。
介護実習については、実施に向けたハードルは高いものの、関係団体と連携して今後とも実施の可能性を追求して行きます。
2.介護施設運営者研修コース(仮称)
介護実習事業に関連して、とりわけ中国の介護施設運営者の日本研修コースを企画し、立ち上げたいと考えています。
3.日本語教師派遣事業
「日本語教師の招聘と派遣に関する協議書」の改定に伴い、より魅力のある条件整備を行います。また、18年度は、従来のシステムが改変され、派遣と受入れに関わる実務も含めて「国家外国専家局」が直接中国側窓口になることから、派遣教師と招聘校の新たなマッチングシステムの構築を目指します。
4.中国人日本語教師スキルアップ事業
日本語教師派遣事業とともに、「中国における日本語教育向上事業」の枠組の中でセットとして位置づけ活動を強化します。
以上、人材育成事業を中心に概要をまとめました。皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。
専務理事/事務局長 新井 力
地方駐在員だより
大切にしたいこと
四国駐在員 鷲澤 光夫
愛媛県南予地区、四国の温暖で過ごしやすいところ?? いやいや、先日は40㎝の雪に埋もれ、南からの出身者には冬は厳しい環境。積雪と凍結で延期していた監査訪問、「こんにちは」実習生からの明るい声に迎えられ、元気で頑張っている様子に一安心。
家族と離れ異国の地で実習活動に励む実習生には、現場で確かな技術や技能を身に着けてもらうこと。同時に地域の自然・文化に接し、人々との触れ合いの中から日本(人)のよき理解者とし情報発信をしてほしいと願う。
実習生一人ひとりが最大限の能力を発揮できる職場・生活環境を整えていくことが、各企業と共に当財団に課せられた大きな役割だと感じている。
実習生の明るい笑顔に迎えられる
一ツ橋
冬来たりなば‥‥
「○年ぶりの大雪!」というニュースがしきりとテレビを賑わせる今年の冬。ご苦労されている地元の皆様にお見舞い申し上げると共に、日本に来て、初めて雪を見た方もいるでしょう実習生の皆さんも、くれぐれも気をつけて(特に健康に)毎日をすごしていただきたいと願っています。
しかし、冬来たりなば春遠からじ。技能実習新法の本格的適用の時期を迎え、私たちも、そして受入れ企業と実習生の皆さんも、新鮮な気持ちで、協力関係をより深めて、新たな春に備えていければ、と思います。よろしくお願い致します。(n)