技能実習生受入れ企業代表者会議
新法の内容を説明 企業の意向も把握
毎年、秋頃に開催していた「技能実習生受入れ企業代表者会議」を5月から6月にかけて全国5会場で開催しました。今回は昨年11月の「技能実習新法」の成立を受けて、新しい技能実習制度の周知とそれに対する当面の対応についての共通理解を図りました。参加者からは受入れ枠の拡大や3号実習生の受入れへの関心、資格試験への協力など今後に向けた積極的な意向が示されました。
外国人技能実習生事業の推進と理解を深めるため、当財団では毎年秋頃に各地域で代表者会議を開催していますが、2017年度は新しい「技能実習法」が11月に施行されることから、開催時期を前倒しして5月から6月にかけて実施しました。
また、今回はこれまでの制度からの抜本的な変更となるため、これまでの全国3カ所での開催を四国・中国・関西・東海・関東の5ブロックに拡大しての開催となりました。
さらに数カ所での個別説明会を行いました。結果として会員の約6割、約100人の代表者が出席されました。
また海外の送出し機関であるベトナムの駐在員を対象とした説明会や、中国の送出し機関を対象とした説明会も同時期に開催しました(詳しくは別項に)。
こうした取り組みを通じて、その目的とするところは、①全ての会員とともに新しい技能実習制度への共通理解をはかり受入れ企業の今後の意向を確認する。②よりスキルの高い外国人技能実習の実施体制の構築をはかる。③法令の遵守を基本に、実習実施機関である受入れ企業と外国の送出し機関、そして監理団体である当財団との有効な協力体制をはかる。④以上の結果として、技能実習生の人材育成に寄与する、です。
今回成立した新しい法律は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」といい、外国人の技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図ること、国や関係する団体の責務を明らかにすること、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設けること等を定めています。
そしてこれらに関する事務を所掌する強い権限を持った「外国人技能実習機構」は、今年4月にはスタートしています。
説明会後の意向調査では、3号実習生の受入れ、人数枠の拡大など優良な「実習実施者」をめざすこと、技能検定試験会場の提供や機材の提供など積極的な協力の姿勢が示されていました。
日程と会場
四国地区ブロック会議にて
近畿関西地区ブロック会議にて
関東地区ブロック会議にて
技能実習 新法対応
海外の送出し機関に対して説明会を実施
今回の制度改正によって、監理団体は、実習実施者(受入れ企業)および送出し機関(中国・ベトナム等)に制度の趣旨・目的を周知しなければならないとされています。
企業対応については別項のように5月~6月にかけて5カ所で説明会を行い、国外対応については技能実習生の送出し団体を対象に、中国とベトナムの説明会を行いました。
中国は6月24日より29日の日程で上海において送出し機関を集めて説明会を行い、ベトナム送出し機関については、5月24日、当財団の会議室において5社の送出し機関駐在員に集まっていただき、今回の制度改正に対して、制度の趣旨・目的・内容を説明したところです。
今回の法改正では送出し機関の該当国と日本の2国間で協定を作成することとなります。保証金・違約金の徴収の禁止の確認はもとより、帰国後の就職のあっせん等、細かな設定内容となっています。しかしながら、入管・外国人技能実習機構等の準備が思うように進んでいないため、混乱が予想されています。
企業・実習生に遅延によるご迷惑をかけないよう、監理団体・送出し機関が協力してスムーズな新法移行に向け対応しています。
ベトナム送出し機関説明会
第23回理事会・第16回評議員会を開催
2016年度事業・決算報告を満場一致で了承
第23回理事会と第16回評議員会が開催され、当財団の2016年度事業報告ならびに決算報告が行われました。
16年度は新規入国技能実習生が15年度より100名以上増加し、当財団の事業運営が安定化の方向へ向かっていること、また、16年度の1年間に渡り実施された設立30周年記念事業が成功裏に終了したことが報告されました。
審議の結果、異議が無く、原案通り出席者全員一致で議決されました。あわせて、新会員の承認、評議員・理事の交代・選任など所定の議案が審議され、原案通り全員一致で議決されました。
第23回理事会
6月7日(水)14時から 出席理事13名、出席監事2名
第16回評議員会
6月23日(金)14時から 出席評議員8名、出席監事2名
評議員・理事の交代選任
評議員
【新任】元林 稔博 日本労働組合総連合会 総合国際局長
【退任】吉田 昌哉 前 日本労働組合総連合会 総合国際局長
理 事
【新任】鮎澤 和之 前 全日通労働組合東京支部 執行委員長(7月1日付就任)
【退任】永井 秀治 元 全日通労働組合 中央書記次長
第23回理事会
2017年度中国派遣日本語教師研修会
4月13日・14日の日程で中国派遣日本語教師研修会が開催されました。
今年の参加者は11名。皆、経歴も出身県もさまざまです。今回の研修のねらいは、中国赴任に向けての必要な知識と生徒に興味与える授業の展開方法等の取得。今回も柴野たまの講師に「日本語を楽しむ」「授業を楽しむ」をテーマに講義をいただき、生徒の興味を引き出す教授法を体験しました。2日目には、(公社)国際日本語普及協会の戸田佐和講師に、「授業現場の教材の活用方法」として、実際の教材の活用方法、日本語教育に活用できるWebサイト等、実際の授業で活用できる情報を紹介いただきました。
そして、実際に当財団派遣先輩教師の生の声として、坂本篤子さん、奥井靖さんに、実際赴任したときの事や現地の情報を映像を用いて講演いただきました。今回、研修会を無事修了した皆さんの今後のご活躍に期待します。
記念写真
第5回中国人日本語教師スキルアップ研修会
4月21日から4月23日にかけて、第5回中国人日本語教師スキルアップ研修会を実施しました。
当財団と中国国家外国専家局の共同プロジェクトであるこの研修会は、今回が5回目となり、初めての山東省で山東省国家外国専家局と日美専修学院の協力のもと執り行われました。今回参加したのは、14校、現役教師37名。最も参加人数の多い研修会となりました。参加教師からは、グループディスカッションや日本語を楽しく学べる教授法について、とても好評をいただきました。
下記事は柴野講師による研修会のレポートです。
記念写真
「日本語を楽しむ」「日本語で楽しむ」山東省スキルアップ研修を終えて
柴野 たまの 講師
私の第一声「皆さん、日本のじゃんけんを知っていますか」、「は~い、最初はグー!です」。
参加者全員で輪になってジャンケンをした結果、3名がパー、あと全員がチョキを出しました。「この3名はグループです」。わけもわからずにジャンケンを始めた皆さん、目的が分かって次々に5名、8名とグループが出来、研修テーマに沿って話し合いを始めました。自分の考えを言い、人の意見を聞いて、改めて日本語と向き合い、認識を新たにしたようです。
ちょっと一休み、クイズです。「ここに1枚の新聞があります。この新聞を何回折ったら(仮定:もし折れたら)富士山の高さになるでしょう。新聞100枚で約2cmです」
まず、予想した数字を挙げてもらいます。次に、1回・2枚、2回・4枚と板書しながら「1回折ると2枚になります、2回折ると4枚になります」と全員で続けます。8枚、16枚、32枚、64枚…7回折ると128枚、約2cmです。8回折ると4cm~、同様に続け13回折ると128cm、約1m、…20回折ると128m、約100m、…25回折ると3200m…途中の切り捨てを考えるともう富士山の高さになりますよ、一番近い数字は誰でしょう。
何度も「~折ると~になります」を唱和、同じ数字を繰り返すので数字がすらすら出てきます。「回/枚/cm/m」など日本語に多い助数詞の練習にもなるかと取り入れたのですが、「~すると(必ず)こうなる」という仮定条件の「ト」を意識するのにも「富士山クイズ」は良いかもしれません。
「1年生になった気持ちで…」と研修会冒頭の専家局の挨拶そのままに、先生方は初級の遊びにも一生懸命取り組み、楽しんでおりました。
研修中にすっかり打ち解けた皆さん、最後は「北国の春」2拍4拍子のリズムに乗ってフォークダンスも軽やかに…あっという間の2日半でした。
今から歌に合わせて動作をしましょう
そ〜の〜手を〜♪ うえに♪〜
北国の春
派遣教師からのおたより
強者どもが夢の跡
石家庄学院 小原 隆俊
スピーチコンテストが行われた音楽楼の前を通ってみると、先日の熱戦が思い起こされた。
2年生の学生たちはよく頑張った。年上の学生や留学経験者に交じって堂々とスピーチをした。結果は4人の選手のうち、特別賞に2人、優秀賞に1人選ばれた。団体優勝こそ他校に譲ったものの見事な結果だ。
「よくがんばりました。立派な成績を残しました。しかし、私が一番うれしかったのは、今日がこれまでで一番上手だったことです。」と話すと、「まだまだです。今夜から日本語の勉強をもっとがんばります。」と答えた。
主力になるはずの3年生は企業研修に出て学校にいない。4年生はインターンシップに行っていない。だから、2年生が選手になるしかなかった。2年生は、日本語の勉強を始めてまだ1年半しか経っていない。しかも、入試の時の成績で不本意ながら入学してきた学生が多い。その2年生が何回も作文を書き直し、日本人らしいアクセントやイントネーションを身に付けた。そして、校内予選を経て選ばれた4人の強者に、いや参加した52人全員に心から称賛の拍手を送りたい。
石家庄の日本語スピーチ大会は、5大学、2高校、参加選手25人ほどの小規模の大会だ。地元の日本企業がスポンサーになり、北京日本大使館や国際交流基金、またHRsDアジア財団が後援していて今年で6回目。大学で専門に日本語を勉強する学生は少ないが、アニメに興味があったり、日本に旅行したりしたいという若者が多い中国の日本語人気にあやかって、徐々に裾野を広げているように感じる。
それに、反日デモ等が起きた第2回大会時は、会場も借りられずに大変な苦労があったという。そんな先人への感謝の気持ちを込めて僭越ながら引き受けた審査委員長としての講評の最後に一文を加えた。
「ところで、皆さん。言葉って何のためにあるか考えたことがありますか。・・・そうですね。自分の考えを伝えたり、相手の考えを知ったりするためにあるのですね。
でも、私はもっと素敵な答えを歌の中に見つけました。『言葉って、仲良くなるためにあるんだよね。』ですって。」
今後もこの大会が裾野を広げることを願ってやまない。
『会場』石家庄学院北キャンパス音楽楼
『司会』3人が素敵なドレス姿で〜
『表彰式』着物姿の学生が案内や手伝いをしてくれました
地方駐在員だより
成 長
四国駐在員 程 一軍
2016年8月下旬、ベトナムの技能実習生10名を岐阜羽島の研修所から香川県観音寺市の受入れ企業まで引率しました。
入国した当初は緊張感とものめずらしさのためか彼女達は皆おとなしくて田舎娘っぽく見えました。
ほぼ8カ月たった最近、私達は彼女達の移行試験に随行しました。
試験準備段階でその姿を見ると、皆すくすくと成長したと驚き、実感できました。20歳未満の技能実習生は何人もいますが、いろいろ経験なかった異国での技能実習生活を経て、彼女たちは自信満々な状態になりました。
これからも成長するように祈念しながら、彼女らの成長にご苦心された受入れ企業の皆様にも感謝致します。
身なりを整え、試験の準備
説明を熱心にきく
一ッ橋
戦後、日本人が空気を吸うように当たり前に思ってきたこと---憲法の平和主義が、国際環境の急激な変化の中で議論の俎上に載せられている。
そんな中で、内田正敏氏の「民衆は戦争を望まない」(5月20日付朝日新聞「私の視点」)は、小品ながらきらりと輝く示唆に富む投稿であった。
氏は、憲法前文が、「日本国民は…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と指摘、「諸国家」ではなく「諸国民」の公正と信義に信頼を置くこと、そして、国が、メディアが、反日、反中、反韓をあおらなければ民衆同士は仲良くできると鋭く見抜く。
意を強くして、民際交流の道をしっかり歩もう。(a)