日中技能者交流センター、JCSEC

日中技能者交流センター
ライン

日中技能者交流センター設立30周年
記念訪中代表団 報告

次の30年に向けて大きな一歩

 センター設立30周年を記念する訪中代表団(3月29日〜4月2日)は、関係各位のご尽力により大きな成果を収めて無事帰国しました。代表団は滞在中、中国側パートナーである中国職工対外交流中心、人社部国際交流服務中心、中国国家外国専家局を表敬訪問し、中国の第12期第4回全人代で採択された「第13次5カ年計画」のそれぞれの活動や今後の友好交流の促進について意見交換を行いました。また、在中国日本大使館では、木寺大使と満開の桜を眺めながら、親しく懇談する機会を持ちました。訪中のハイライトである30周年記念「日中共同北京シンポジウム」では、4つのテーマ毎の発表に、時間が足りないほど多くの意見や質問が出され、活発な討議が行われました。
 今回の代表団は、参加者の規模と活動の内容からセンター30年の歴史の中でもとりわけ際立つものです。この代表団を成功に導いて下さった、中国職工対外交流中心をはじめとするパートナー組織のみなさん、天津訪問を楽しくも有意義なものとして下さった天津市総工会のみなさん、そして、代表団にご協力いただいた中国関係者のみなさんに心から感謝申し上げます。また、日本においては、年度末と年度初めの慌ただしい中で、ご参加いただいた代表団員のみなさん、また、代表団への参加を快く受け入れて下さった各組織と関係者のみなさんに心からお礼申し上げます。
 センターは、訪中の成果を力に、次の30年に向けて大きく一歩を踏み出して行きます。

専務理事/事務局長 新井 力


中国職工対外交流中心との会談
中国職工対外交流中心との会談


人社部との記念写真
人社部との記念写真


専家局との調印式
専家局との調印式


日本大使館表敬訪問
日本大使館表敬訪問



30周年記念「日中共同北京シンポジウム」を開催

「グローバル世界の中で日中友好を促進しよう」の
呼びかけの下、日中友好の深化を目指す

 3月31日、中国職工之家(北京)の会議室において、30周年記念訪中代表団(センター、連合、産別・単組、労働福祉団体、民間企業で構成)16名と中華全国総工会をはじめとする工会や行政・友好機関の幹部22名が一堂に会し、「グローバル化における産業構造の変化と労働者資質の向上」をテーマに、進行するグローバル化の中で今後の日中友好のあり方をめぐり意見を交わしました。
 プログラムは4つのテーマに別れ、グローバル化をキーワードに、

 第1が「労働者資質の向上と雇用の促進」
 第2が「国際協力の強化と労働者の交流の促進」
 第3が「中日友好の促進と展望」
 第4が「中日産業の戦略」でした。

 主催者挨拶では江広平総工会副主席と人見理事長が中日を代表して挨拶を行い、当センターの教師派遣事業、経済セミナー、技能実習生事業などの30年間を振り返り、日中民間交流に果した役割と意義について相互に確認しました。
 続いて連合逢見事務局長が「グローバル世界と日中労働者の友好の促進」をテーマに記念講演を行いました。
 9時から始まったプログラムは日中あわせて15人が発表を行い、またディスカッションでは20名の出席者から様々な意見が出されました。まとめに当たって、中国職工対外交流中心の彭勇秘書長は、「このシンポジウムを通じて両組織の協力関係がこれまで以上に強化された。シンポジウムには、多くの組織が参加して、多様な課題についてお互いの知見を交換し合ったことを評価するとともに、具体的なテーマでの率直な意見交換は、一層の日中友好と協力に資するものである。」と指摘しました。
 最後に、11月に開催する東京でのシンポジウムでさらなる日中友好の深化につながることを祈念し、シンポジウムを終えました。


日中共同北京シンポジウム
日中共同北京シンポジウム


日中技能者交流センター設立30周年記念
日中共同北京シンポジウム参加者名簿
団構成 氏 名 所 属 ・ 役 職
団長 人見 一夫 公益財団法人日中技能者交流センター理事長
秘書長 新井  力 公益財団法人日中技能者交流センター専務理事
副秘書長 山口 茂記 公益財団法人日中技能者交流センター常務理事
団員 逢見 直人 日本労働組合総連合会(連合)事務局長
難波 淳介 公益財団法人日中技能者交流センター理事、
日本労働組合総連合会(連合)副会長、
全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)中央執行委員長
南部美智代 日本労働組合総連合会(連合)副事務局長
梅田 伸二 情報産業労働組合連合会(情報労連)組織局長
藤川 伸治 日本教職員組合(日教組)組織労働局長
高橋 壮太 日産自動車労働組合(日産労組)副中央執行委員長
安久津正幸 公益財団法人日中技能者交流センター評議員
一般財団法人全国勤労者福祉・共済振興協会(全労済協会)専務理事
塩田 正行 公益財団法人日中技能者交流センター理事
公益財団法人国際労働財団(JILAF)事務長
花井 圭子 公益財団法人日中技能者交流センター評議員
労働者福祉中央協議会(中央労福協)事務局長
杉山 龍雄 日本通運株式会社執行役員・東アジアブロック地域統括、
香港日本通運株式会社取締役会長、
日通国際物流(中国)有限公司董事長
山森 一男 公益財団法人日中技能者交流センター理事
旭東ダイカストグループ会長
林  俊孝 日本労働組合総連合会(連合)総合国際局部長
事務局 斉藤 俊和 公益財団法人日中技能者交流センター総合技能交流部員


理事会評議員会

2016年度事業計画・同予算を全会一致で決議

 3月28日開催された第17回理事会では、2016年度の事業計画と予算が決議されました。また同日に開催された第13回評議員会では、議長に山田評議員(全日通労組中央副執行委員長)を選出した後、第17回理事会提出議案のすべてが全会一致で決議されました。

決議された主な議案
①2016年度事業計画
②2016年度予算
③新会員の承認
④「評議員」「理事」「監事」の交代・選任
⑤「顧問」の交代
⑥規程の制定に関する件

人見理事長挨拶抜粋
 2016年4月1日以降、現行の公益財団法人日中技能者交流センターという名称に加え、新たに「HRDアジア財団」の通称を併用し、一層の「アジア諸国との人材育成と民間交流の拡大強化」を目指します。その為、役職員の能力開発と生産性の向上を促進するマネージメントを通じて次の各事業の達成に取組みます。
 第1に、人材育成事業については、技能実習生受入、日本語教師派遣、新規事業(介護、専家局認証)の4分野を重点に取組みます。
 第2に、外国人技能実習制度の抜本的見直し、建設、造船分野の2020年までの特例措置等については、送出し機関、受入企業と連携して迅速に対応します。
 第3に、情報の共有化、役職員のスキルアップについては、実習生事業調整委員会等各種会議や定期的な研修会を開催し、取組みます。
 第4に、2016年のセンター設立30周年記念事業については、顔の見える民際交流を目指し、市民レベルの交流を通じた日中国民の友好と協力の促進をベースに具体化を図ります。
 第5に、3年目に入る「友の会」活動については、クッキングスクール等の場を提供し会員間の親睦がより一層活発になるように取組みます。

【新任評議員】
花井 圭子  労働者福祉中央協議会 事務局長
斗内 利夫  全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)常任中央執行委員

【退任評議員】
大塚 敏夫  前 労働者福祉中央協議会 事務局長
久保 直幸  前 全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン) 副書記長

【新任理事】
加藤 良輔(副理事長) 教職員共済生活協同組合 理事長
塩田 正行(理事)   公益財団法人 国際労働財団 事務長
山口 茂記(常務理事) 日中技能者交流センター 総合技能交流部統括部長

【退任理事】
中村  讓  前 教職員共済生活協同組合 理事長
團野 久茂  前 公益財団法人 国際労働財団 専務理事

【新任監事】
寺田  弘  日本労働組合総連合会 総合総務財政局長

【退任監事】
塩田 正行  前 日本労働組合総連合会 総合総務財政局長


派遣教師からのおたより

がんばれ!日本語学科

山東工商学院 塩川 則子

 山東省遼東半島の先端部にある烟台市は、韓国仁川へ飛行機で1時間ほどで行けるところです。そんなこともあり、私が赴任した「山東工商学院」には、中国語を学びに来ている韓国の学生も多数見られる大学でます。
 日本語学科の学生の中には、小さい頃から日本のアニメやドラマを見て日本文化が好きになり、日本語を専攻したという学生もおり、心強い存在です。実は赴任するまで、日本のアニメがそんなにも浸透していることを知りませんでした。従って、私の用意していった、「アニメクイズ」はどおりで皆大正解でした。
 さて、後期の授業が始まって1月あまり、「あちらの肩、こちらの肩は・・」と」アクセントが「か」に来てしまい「方」の発音に難儀していた会話授業の1年生達。わたしも一人一人の発音をチェックしてようやく、「あちらの方は、こちらの方は、どなたですか?」とスムーズになってきたこの頃です。しかし次回はまた「肩」になってしまう方も、いますが・・。逆に私の中国語の単語の発音には厳しく、何度も教えてくれる皆さんです。
 そんな中私が教えている1年生の会話での重点は、質問力を高めることにしていまです。例えばQ-A活動のときにQに答えたあと必ず自分も質問をするという条件をつけたりします。もうひとつとして「わたしは何(誰)でしょう」をwarm-upにとりいれています。出題者は前に出て「私は誰(何)でしょう」と言うだけで、あとは順に「あなたは、動物/食べもの/物 ですか?」「色は?形は?どこにいますか?」と次々質問することで、答えを当てます。質問事項はプリントに書かれたものを渡してあり、練習もしてあります。皆さんよく頭を働かせ、質問プリントを参考に、進められるようになってきました。ときどき「ゼンマヤーン?(どうでしょうか?)」がとびかいます。とら、いちご、ドア、かさなど可愛い答えが多いんです。
 2年生の重点は、My会話の作成です。それぞれの課には、モデル対話があるので、それと同じ構成でテキストとは違う内容や楽しい内容のMy 会話が増えていきそうです。これはほとんど宿題にしています。この頃最近中日の習慣対比の会話を学習したので、それにちなんで書いてきたMy 会話を紹介します。

 

 中国:中国も日本も箸を使いますね。
 日本:そうです。
 中国:中国は長い箸を縦に置くが日本では短い箸を横向きに置く。
 日本:そうなんですか?ほかにも違いますか?
 中国:ええ、ごちそうになったとき、中国では料理を少し残す、
    これは「お腹がいっぱいになった」の意味になるからである、
    しかし日本では「この料理は好きではない。」の意味になる。

 箸を縦に置く、残した方がよい、など私も初めて知りました。
 このような異文化情報をわたし自身も発信していくことも大切かと思い、昨年来日本の風俗や文化のマンガ(昨年センター研修で紹介していただいたもの)を教材に用いてきています。温泉旅行の題材では、湯船・湯上り・ひと風呂などの言葉の学習とともに、もちろん「温泉でのマナー」に力を入れました。良い日本旅行ができる人材育成に貢献しましたよ。
 しかし、いったん教室を出ると、学生の皆さんの中国語のサポートがなければ買い物や電話代など事が運びません。その暖かい気持ちに感謝しつつ、あと残された期間授業準備をしっかりして、生の日本語を伝えていきたいと思っております。(帰国のときはきっと寂しいだろうなあと・・・)


学生と一緒にカレーパーティ
学生と一緒にカレーパーティ


会話練習
会話練習


日本語学科のみんなと
日本語学科のみんなと


2016年度中国派遣日本語教師研修会

今年も、新たに15名が修了!

 4月7日・8日の日程で、今年も中国派遣日本語教師研修会が開催されました。会場である当センターには多彩な経歴をもつ15名の参加者が集まり、2日間にわたって、中国赴任に向け授業現場で必要な知識や情報を取得するための研修を行いました。今回の研修会は、センター登録教師である柴野たまのさんから、「日本語を外国語として考える」、「日本語を中国の学生に教えるための授業展開の方法」をテーマにした講義を、公益社団法人国際日本語普及協会の戸田佐和常務理事から、「授業現場での教材(副教材)の活用」をテーマにした講義をそれぞれ行って頂きました。
 参加者たちは、同じ志を持つ者同士、親睦を深めながら研磨し、無事15名全員が修了証書を手にすることができました。


日本語教師研修会にて
日本語教師研修会にて



四国支所からの便り

不測の事態に見舞われた後

 祖国を離れて遠い日本に来た外国人技能実習生にとって、三年間順調に技能実習を終わらせて、受入企業で学んだ新しい知識と技術及び勤勉な労働で得たお金を持って、親のところへ戻ることは一番の望みでしょう。けれども技能実習の途中に受入企業の不測の事態に見舞われたらどうするでしょう。
 王さん、梁さんは中国遼寧省から日本に来て、技能実習の期間中に受入企業が突然不況で休業することになりました。ショックを受けた後は、期待していた三年間の技能実習はこれで中止されるのか?他社に移ることができるのか?いろいろな悩みと心配に襲われてしまいました。
 一番心配なことは、技能実習2号ロへは移行試験を受けなければならないのですが、受入企業が休業となると、どうすればいいのかということです。
 不測の事態発生後、受入団体として日中技能者交流センターはすぐに担当部長、地方駐在部長、中国派遣団体の駐在員を現地に派遣して、彼等と会って詳細にこのような不測の事態に見舞われた時の法的保護策を説明して安心させた上で、迅速に同職種の受入企業を確保したため、短期間で新しい企業に移ることができました。
 また、移行試験については、受験勉強、模擬試験などを強化・徹底した結果、めでたく合格することができました。
 日本でこのような不測の事態に見舞われたことは不幸とも思えますが、健全な法規と優良団体に助けられたことは不幸中の幸いでしょう。


模擬試験を受ける2人
模擬試験を受ける2人


王さん(左)と梁さん(右)
王さん(左)と梁さん(右)


移行試験(実技)の様子
移行試験(実技)の様子



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