新年祝辞
公益財団法人日中技能者交流センター
理事長 人見 一夫
新年あけましておめでとうございます。
会員の皆様・関係団体・組織の皆様には、日頃より当センターの運営につきまして格別のご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
さて、昨年11月に北京でAPECが開催され、これを契機に日中両国の交渉も徐々に改善の機運が出てきました。「戦略的互恵関係の構築」は両国民にとって大変大事なことであり、今後の進展が望まれます。当センターとしても、設立以来今日まで築いてきた中国関係機関との連携を更に強固なものとし、日中両国間の友好関係増進に積極的に寄与する所存です。
当センターの中心事業である技能実習事業に関しては、建設労働力不足への対応が追加されるなど、本年中には受入れ職種や実習期間が見直される見通しです。この機会をとらえて会員の皆様へのサービス向上に努めるとともに日中間の民際交流のための役割を果たしてまいります。
当センターの長年のカウンターパートである中華全国総工会・中国職工対外交流中心、人力資源和社会保障部・国際交流服務中心、中国国家外国専家局とは、新事業も含めて更に関係強化を図ってまいります。
当センターは来年創立30周年を迎えます。事業の拡大に伴い克服すべき課題もありますが、これまでの歩みを大切にしながら役職員一同、更なる発展に向けて尽力する所存です。
本年もご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
中国職工対外交流中心
秘書長 彭 勇
新年あけましておめでとうございます。
会員の皆様、貴組織におかれましては良き新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
旧年中は大変厳しい環境のもとではありましたが、両組織の緊密な協力により、中日交流事業を発展させてきました。本年も、会員の皆様、貴組織と手を携えて協力し合い、共に輝かしい未来を築きたいと願っております。きっと今年はよりよい一年になるものと信じています。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
人力資源和社会保障部国際交流服務中心
主任 付 躍
新年あけましておめでとうございます。
技能実習生受入企業様、公益財団法人日中技能者交流センターの皆様、及び日本語教師の皆様方には、我々の事業に対しまして、格別のご理解・ご協力を賜り厚くお礼を申し上げます。
新年を迎えるにあたり、私は人力資源和社会保障部国際交流服務中心を代表いたしまして、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も、両国の友好関係が更に強化され、両組織の各種協力交流事業が着実に進展していくことを期待しております。
国家外国専家局教科文衛専家司
司長 聂飙
国家外国専家局は日中技能者交流センターと約30年にわたり友好的に連携しており、中国へ千人以上の日本語教師を派遣していただきました。派遣された教師の方々は、日中友好の精神の下、両国友好の促進と中国の大学や専科学校等教育機関における日本語教育レベルを引き上げることに誠心誠意尽力され、高い日本語能力を持った人材の養成に大きく貢献していただきました。
2015年を迎えるあたりに、貴センターへ心からの祝福を申し上げ、お互いの連携の下、双方が益々発展していくことを願っております。
平成26年政府委託事業
非正規労働、女性の雇用に高い問題意識
〜山東省につづき、天津市研修チームも来日
政府より委託されている労働関係指導者招聘事業により、9月の人力資源和社会保障部山東省チームに続き、中国職工対外交流中心の天津市チームが昨年10月20日、来日しました。
団長の张彦・天津市総工会城郷建設交通工作委員会副主任はじめ、天津市総工会の幹部で構成されたメンバー4名は、毛孟輝・中国職工対外交流中心駐在員、中村豪・当センター総務・企画部部長とともに、厚生労働省をはじめ、公益社団法人全日本トラック協会、日本通運株式会社、日本労働組合総連合会(連合)(※各敬称略。以下同じ)、そして当センターを訪問し、それぞれにおいて、講義を受講、視察するなどの研修を受けました。
総工会は中国における労働組合であることから、メンバーは労使関係や労働環境、特に公労使三者の協議による紛争解決システムや、派遣・パート等の派遣労働者、女性の就業状況関係のテーマに強い関心を示しました。
非正規労働者の増加、それに伴う組合の組織率低下は、中国においても、日本と共通する問題となっており、その影響と日本の労組が取り組んでいる対策(非正規労働者の労組加入促進等)について質疑が熱心に行われました。さらに、中国では女性の社会進出が活発な為、日本における女性の進出状況とその重要な支えとなる産前産後の休暇制度、休業中の手当、職場復帰の取り組みなどについて、重ねて質問していました。
メインテーマである労使関係については、「労働審判制度の利用が(昨年)3000件台であったということは、日本の労使関係は全体的に安定しているのではないか」、「政府が法律を整備し、企業を厳しく監督している」、「組合も企業も政府もよい労使関係を作ろうと努力していることが素晴らしい」という内容の感想を、それぞれの研修後に述べていました。
研修の最後に当センター会議室で開いた総括会議において、「(会期中だった)国会で審議されている派遣法改正の行方について、訪中フォローアップ調査時に教えて欲しい」、「もし今後この事業で可能であるならば、春闘期間中に訪問し、全期間追跡視察したい。また直接労働者にヒヤリング調査をしたい」などの要望が出されたことは、研修チームの強い意欲を証明するものでした。
「労使関係のほかにも、日本人が一枚岩となって努力していること、自立の精神を持っていることを理解できた」という感想を述べ、予定通り全日程の視察を終え、一行は10月24日に帰国の途につきました。団員名簿と主な研修日程については次の通りです。
【団員名簿】※敬称略
张 彦 天津市総工会城郷建設交通工作委員会副主任
王 芳 天津市総工会組織部副部長
邢 涛 天津市総工会国有資産系統工作委員会副主任
黄 广侠 天津市総工会法律工作部副部長
(公社)全日本トラック協会・山崎常務らによる研修
日本通運(株)・田中課長による研修
連合・大久保局長による研修
職業訓練システムの視察と交流
〜湖南省総工会代表団が来日〜
昨年11月4日湖南省総工会の代表団が来日しました。目的は我国の職業訓練と再就職のシステムの視察と連合滋賀との交流を行うためでした。一行は周海斌・湖南省総工会副主席を団長とする6名で、センターに駐在する中国職工対外交流中心の毛孟輝駐日代表とともに8日までの日程で、各地での視察と交流を行いました。
湖南省は中国の中心(ヘソ)に位置しており、面積は日本のおよそ6割にあたる21・1平方キロです。長江の中下流域にあり、中国で2番目に大きな洞庭湖があります。その湖の縁で滋賀県とは以前より友好関係を結んでいます。湖南省の人口は約7千万人で、その内労組組合員は1146万人。技能向上とスキルアップ及び職業訓練システムの充実は、湖南省総工会の仕事のひとつとされており、各訪問先で熱心な質疑が行われました。
実習生事業としては、足柄の旭東ダイカスト(株)と滋賀のメルボ紳士服工業(株)の工場を視察し、職業訓練システムでは、厚生労働省で担当課長から話を聞いた後、飯田橋ハローワークと滋賀の職業訓練校草津校を視察しました。
また、滋賀県では連合滋賀との定期協議に臨んだほか、福祉団体の皆さんとの交流や滋賀県庁への表敬訪問を行い、交流を深めました。日中技能者交流センターとの業務会談は第2日目に行われ、今後とも交流を深めていくことが確認されました。一行は、秋まだ浅い京都を視察し、全工程を終えて、無事に帰国しました。帰国後の手紙の中で、「天下で最大の喜びは友のあることである」という中国のことわざを引用して、センターとの友情が末永く続いていくことを期待して、交流内容を絶えず深めてゆきたいとの希望が寄せられました。
【団員名簿】※敬称略
団長 周 海斌 湖南省総工会副主席
団員 尹 国强 張家界市総工会常務副主席
肖 云 益陽市総工会副主席
丁 仁 長沙市経済技術開発区総工会主席
许 波 湖南省総工会部長
丁 展望 湖南省直属基層工会調研員
湖南省総工会周団長から旭東ダイカスト山森会長へ記念品が贈呈される
飯田橋ハローワークを視察する湖南省調査団
派遣教師からのおたより
2015 私はこう生きたい
河北外国語職業学院 小荒田登志子
「自分たちの地球が宇宙の中心だという考えにかじりついていた間に、人類には宇宙の本当のことが分からなかったと同様に、自分ばかりを中心にして物事を判断していくと世の中の本当のこともついに知ることはできないでしょう。」 吉野源三郎著(1948).『君たちはどう生きるか』新潮社他より引用
2014年8月から中国で生活を始めた私にとって、古さと新しさが同居しているこの国でのカルチャーショックは、枚挙にいとまがありません。私は、吉野さんに指摘されるまでもなく、住んできた日本が世界で一番という目で中国を見下ろしている事にうすうす気付いていました。生活や文化の違いによる不自由さをいつの間にかすり替えて、文化が遅れている、貧富の差が大きい国として、半ば同情した目で見ていたのです。しかし、本大学の図書館(日本語コーナー)でたまたま見つけた吉野さんの本からはっきりと突きつけられました。私にとって、中国で生活をする大きな意味はまさにここにありました。
私は100分1コマの授業を週6コマ持っています。昨年より日本語を選ぶ学生が激減したとの事ですが、受講者は日本が大好きな学生ばかりで、私が日本人であるというだけで親愛の情を示してくれます。またアラビア語や韓国語専攻の学生達も、日本のアニメが好きですと言って話しかけてくれます。学生の中に、日本で教えた子どもたちとよく似た顔を見つけると、たとえ中国語が話せなくても、大丈夫という気がしてくるので、不思議です。
こちらは私が初めて経験する寒さと乾燥の強い所です。声を張り上げて咳き込む私を心配して、のどに効くお茶だからとわざわざ部屋まで届けに来てくれる学生もいて、教師を大事にしてくれる気持ちに、ついほろりとしてしまいます。
自由に使える時間がたっぷりありますので、歩いて30分位の所にある青空市場に出かけ、日本と変わらぬ青野菜、イモ類など買い求め自炊を楽しんでいます。また大学のグラウンドで学生とジョギングや卓球をしたり、最近ではロシア人の先生に編み物を習い始めたりと、少しずつ時間を有効に使えるようになりました。図書館に日本語の本がたくさんあるのも有難いです。
時々学生と一緒に料理もします。先日学生に日本のカレーを作ってあげたのですが、口に合わなかったようです。私が中国の餃子をあまりたくさん食べられないのと同じ感覚なのだと思います。お互いの国を尊重し、違いを認め合うこと、そんな簡単なことから国際理解は始まっていくのだと考えされられる出来事でした。
まだ3か月しか過ごしていませんが、何十年分の貴重な経験をさせてもらっています。
2015年が新しい私の幕開けになることを祈願してペンを置きます。
北京駅にて
学生たちと記念撮影
四国支所からのたより
はじめての新幹線 〜ひかり・のぞみ〜
憧れの日本に来た外国人技能実習生にとって、叶えたい望みの一つは、新幹線に乗ることでしょう。特に、岐阜羽島研修所で目の前を毎日電光石火のごとく走っている新幹線を見る実習生達は、“乗ってみたい”との望みが一層強くなるでしょう。しかしながら、この望みをすぐ実現できる実習生は、電車で企業に配属されるごく一部の人だけです。というのは、企業配属の際、多くの実習生は受け入れ企業の自動車で会社に向かうことになり、新幹線に乗るという望みを叶えるのは、しばらく先のことになってしまうのです。
昨年10月と11月に、中国とベトナムの技能実習生が企業に配属される際、私は何度か彼女達と一緒に新幹線に乗ることになりました。
新幹線「ひかり」から「のぞみ」に乗り換え、新幹線の速さ、乗り心地の良さ、車内の清潔さ、車掌・乗客・売り子さんの丁寧さ、皆それぞれに心打たれて、また、それらのことが実習生達にとってとても勉強になったことでしょう。勿論、車窓外の景色も満喫しました。
この実習生達にとって、日本での実習生活は僅か数年ではありますが、日本の進んだ技術や技能及び新しい物を取り込もうとする心構えを沢山身に着け、帰国したときには、新幹線「ひかり」や「のぞみ」のような速さで、母国の発展に貢献してくれることでしょう。
ホームにて乗車を待つ実習生たち
乗り心地はいかが?
新幹線で目的地へ到着