2013年度事業報告・決算 2014年度事業計画・予算を全員一致で承認
経営健全化の取組を更に推進すべく、
センター新役員体制を確立すると共に、2014年度事業計画を決定
6月17日第11回通常理事会(人見理事長以下14名の理事が出席)を、6月24日第8回定時評議員会(10名の評議員が出席、議長藤井真奈武氏)を、6月25日第12回臨時理事会を当センター本部にて開催、全議案について承認されました。
承認された議案
① 「評議員」「監事」「理事」交代選任の件
②2013年度事業報告承認の件
③2013年度決算並びに監査報告の件
④2014年度事業計画追加修正の件
⑤2014年度補正予算の件
【理事長挨拶抜粋】
▽当センターの2013年度決算は、前年度に比べ大幅に改善したが、未だ水面下の状況にある。昨年度より財政健全化の取組を推進中であり、30周年を迎える2016年度には何としても計画を達成したい。
▽実習生事業は、円安、送出国の賃金上昇等により、募集段階から厳しい状況がある。今後は新たなルート等からの受入に取り組んでいく。
▽実習生制度を巡る動きについては、現在、労働力不足への対応として議論されているが、国際貢献が基本であり、今後の改定方向を注視し、対応していく。
▽2014年度についても、現在取り組んでいる新規受入企業の開拓、新規事業の推進に加え支出の削減を引き続き進めていくこととしている。ご支援をお願いする。
○評議員の新任・退任 以下、(敬称略)
【新任】髙橋 哲哉 日本通運株式会社 総務・労働部長
吉田 昌哉 日本労働組合総連合会 総合国際局長
安久津 正幸 一般財団法人 全国勤労者福祉・共済振興協会 専務理事
松岡 裕次 日本鉄道労働組合連合会(JR連合)会長
氏家 常雄 全日本自治団体労働組合 中央執行委員長
秋田 進
市川 佳子
小池 正明
坪井 義範
徳永 秀昭
○理事
理事については、現行の14名全員が再任されるとともに、山口茂記氏(日本労働組合総連合会参与、7月1日就任)が選任されました。新業務執行体制は以下の通り。
理事長(代表理事) 人見 一夫
副理事長 中村 讓
副理事長 河野 操一
専務理事/事務局長 新井 力
常務理事 中小路 寛
常務理事 永井 秀治
理事 小松 弘樹
理事【新任】 山口 茂記
○監事
【再任】
小栗 啓豊 公益財団法人 総評会館 相談役
【新任】
塩田 正行 日本労働組合総連合会 総合総務財政局長
【退任】
磯部 行雄
受け入れ企業考察団が来日を全員一致で承認
実習生を激励・指導
日中両国の環境の変化に対応
報道等でもとりあげられているように、現在、特に中国からの実習生の派遣・受け入れについては、日中両国の各種環境の激変により、さまざまな課題が浮上しています。
そうした状況に対応するため、当センターの創立当初からのパートナーである中国職工対外交流中心の査良青副部長を団長とする「受け入れ企業考察団」が、5月19日~23日の5日間に渡り、日本各地の受け入れ企業を訪問し、実習生事業の安定的な拡大のため活動を行いました。
考察団には職工中心本部から査良青副部長と石晶晶幹部の両名、さらに実習生派遣の地方責任者である、四川職工中心の劉斌主任と河南省鄭州の劉国亮総経理が参加し、各地域から派遣された実習生が在籍している島根県、山口県、愛媛県下の受け入れ企業を訪問し、実習生にかかわる懸案事項の解決にあたりました。
さらに一行は当センター本部を訪れ、安定的な実習生派遣・受け入れについて業務会談を行い、羽田空港から帰路につきました。
受け入れ企業を訪問した「考察団」一行
中国の職業訓練学校を視察
6月8日より12日まで、人力資源和社会保障部国際交流服務中心の招請を受け、人見理事長、小松総合技能交流部統括部長が訪中しました。
一行は、北京から、河北省承徳市、河南省洛陽市、湖北省武漢市、そして上海へ移動し、それぞれの地域で、発展著しい中国の技術力向上を担う人材を育成する職業訓練学校、関係機関、企業を視察し、関係者との協議などを行いました。
派遣教師からのおたより
石家庄日本語スピーチ大会
河北師範大学 寺元 健二
当市は、河北省の省都でありますが、北京に比較的近いということもあって日本企業が少なく、したがって日本人も極めて少ないという地方都市であります。
昨年度に当校に参りまして、まもなく2年目が終了しようとしているところです。3年前から当地石家庄で行われている、教師と学生の手作り日本語スピーチ大会をご紹介したいと思います。
そもそも、きっかけは日本語教師の雑談からですが、とりあえずやってみようということで、会場も大学の教室を使っての、簡単な大会を行いました。しかし、単に競技会だけでは出場選手の15、6名だけが機会を享受できるにすぎません。もっと多くの学生たちにいろいろな形で関与させたいという反省に基づき、2回目からは学生ボランティア自身による計画実行というプランを設定し、学生たちに提示しました。参加予定の大学から運営ボランティア4人ずつを募集し、企画運営、対外交渉をすべて学生に任せるということで、各大学の日本語学習者間の交流、日本式の物事の進め方、ボランティアとは何か、等を学んでもらおうというのが本旨であります。
昨年のことですが、準備を始めたところ、大きな問題が発生しました。会場の問題です。1回目同様、参加校の会場を借りるつもりでおりましたが、時おりしも、2013年10月、日中間の情勢不安がピークに達し、各学校の協力が得られず、日本に関する活動での施設の使用は認められません。また、学校内以外での100人以上の集会には当局への届けがいるということで、学校施設を使う以外に方法が無いため、この時点での中止という判断もやむをえないとも考えました。しかし、何とか方法は無いものかと、日中技能者交流センターから中国専家局に応援、口添えを依頼しました。中国ならではの人的つながりを期待してのことです。さらに一工夫、日本人の団体(日本語教師の集まり)が主催しているということを抑えて、学生たちのクラブの活動という事であれば、可能性があるのではないかと、当校の日本語クラブの代表学生に相談し、彼の手腕に期待しました。これらの結果、大学も事情を理解し、学生のクラブ活動の一環として講堂を借り受けることができました。表面上、河北師範大学主催という形になりましたが、実を取りました。建前が大切なのは何処も同じです。
一方、学生たちも物品購入やら、スケジュール調整、来賓の招請や、対外申請書等を一生懸命作成いたしました。日本の文化に触れさせるということから、いわゆる「報告、連絡、相談」の原則を導入しましたが、なかなかうまくいきません。「イラッ」と来ることが何度もありましたが、先生方もそこは、「グッ」と抑えて、辛抱強く待ちました。
こうして、今年で3回目となりましたが、今回からは大使館、交流基金とともに、日中技能者交流センターも後援者になっていただき、5月11日に参加大学・高校7校、選手21名、来場者400名の規模で開催いたしました。盛況のうちに開催できたことを喜び、また、次回の準備委員会を、10月に行うということを決めて今年の大会が終了いたしました。
今後の課題としては、資金の継続、会場の手当てができなくなったときの代替競技、などがありますが、何とか工夫して継続させたいと思っています。
第3回石家庄日本語スピーチ大会にて
コラム・一ツ橋
集団的自衛権を巡る与党協議の行方が気になる。戦後70年、日本は、現行憲法の下に軍事力によって何人も殺害することはなかった。それは私たちの誇りだ。その日本が、歴史的な転換点を迎えようとしている。この今、私たちは、何をしなければならないのか。次の時代を生きる子供たちへの責任は重い。後世から後ろ指を指されないためにも、「世界の中に生きる日本」を求め続けて行きたい。顔の見える、日中国民レベルの多様な交流を目指そう。たとえ、ささやかな活動であれ。
四国支所からの便り
家庭的雰囲気に満ちた実習先
この実習先企業の工場は、香川県坂出市の城山のふもとにあります。実習生にとって、この会社の社長さんはまるでお父さん、専務はお母さんで、中国人実習生たちはその娘みたいです。ここでは数年来、毎年2~3名の実習生たちを受け入れ、複数の実習生たちを母国の中国へ見送ってきています。日本の両親としての手厚い世話のお陰で、中国人実習生は技能の習得や日本語の向上だけでなく、心も体も元気よく育っています。お母さん専務は「初めはどんなに堅い表情で緊張している子でも、うちに来て数カ月もすれば、緊張がほぐれ穏やかな表情になるんですよ」とおっしゃいます。会社の玄関に貼られている、会社メンバーによる「家族写真」に写っている皆の笑顔をみると、だれでも納得できるでしょう。この大きな家庭の一員である広島のある大学で芸術学部の講師をしているお姉さんは、今年の4月に個展を開き、実習生達の働く様子を色糸の刺しゅうで表現し、「縫製師たち」という作品を出展しました。若い女性たちの異国での奮闘の様子を一針一針心を込めて縫ったものです。勿論、その個展には、大家族の妹である中国人の実習生たちも祝賀にかけつけました。作品をとおして、この実習生企業の「ぬくもり」が多くの方の心に伝わったことでしょう。
会社メンバーによる家族写真