新年あけましておめでとうございます
会員各位はもとより、関係団体・組織の皆様には、日頃より当センターの運営につきまして、格別のご理解ご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
昨年は大変厳しい一年でしたが、皆様のご協力の下、各種事業を進めることができました。
とりわけ技能実習生事業は、日中技能者交流センターの中心をなす事業です。受入企業様のご理解のもと、受入数の増加に努力してまいりますので、ご協力の程よろしくお願い致します。
一昨年から、尖閣諸島や靖国神社参拝をめぐる日中間の対立で友好関係が大きく後退しました。日中政府間の交渉による一日も早い解決を願ってやみません。「戦略的互恵関係の構築」は、両国民にとって大変大事なことであります。私どもは、当センター設立以来、今日まで築いてきた中国関係機関との連携を更に強固なものとし、日中両国間の友好関係増進に積極的に寄与する所存です。
特に中華全国総工会・中国職工対外交流中心、人力資源和社会保障部・国際交流服務中心、中国国家外国専家局とは、新事業も含めて更に関係強化をはかってまいります。
事業の拡大に伴い、様々な困難も予想されますが、皆様と共に28年目に入った日中技能者交流センターの歴史を大切にしながら、役職員一同、さらなる発展に向けて邁進する所存です。
今年も相変わらずのご指導、ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。
平成25年度政府委託事業
“日本型労使調停”に注目
~陝西省代表団が来日~
9月23日、厚生労働省の労働関係指導者招聘事業の一環として、中国人力資源和社会保障部の叶根礼・調解仲裁司処長を団長とする陝西省代表団が、来日しました。
団長のほか、陝西省の人力資源和社会保障局幹部、省内企業の人事担当幹部らをメンバーとする5名と、中村豪・当センター総務・企画部部長、楊賦臻・人社部駐在員の一行は、24日に厚生労働省、公益財団法人日本生産性本部、25日には厚生労働省、当センター、26日には愛知労働局、株式会社デンソー技研センター(※各敬称略。以下同じ)を訪問し、それぞれ講義を受講、視察するなどの研修を受けました。
今回の研修テーマは、労使関係と、企業における技能訓練と設定しておりましたが、代表団にとっては、特に日本の労使調停の構造に関心が強く、関連する研修では、割り当てられた研修時間を大幅に超過するほど多くの質疑が行われました。
さらに、職業訓練や労使関係を良好にするための企業の取り組みにおける日本の先進性に、強い関心をもっていました。中でも、日本を代表する自動車関連部品メーカーである株式会社デンソー、その技能研修を担当する株式会社デンソー技研センター(愛知県安城市)は、技能五輪全国大会、及び国際大会でも金メダルを輩出するほどの、優れた教育体制を備えており、実習を視察した一行は、その卓越した技術と黙々と訓練に励む集中力、そしてそれを実現する教育システムに、感嘆していました。
帰京後にセンターで行われた総括会議では、日本の労使調停システムに強い関心を示しつつも、近似の体制が整いつつあるのに、未だ十分に機能しているとは言えない自国の現状に対して、解決の意欲を見せていました。また、株式会社デンソー技研センターの教育システムには、改めて賞賛の言葉を述べていました。
そして一行は、予定通り全日程の視察を終え、27日に帰国の途につきました。
湯川晃宏・㈱デンソー技研センター社長によるレクチャー
【団員名簿】※敬称略
叶 根礼 人力資源和社会保障部調解仲裁司処長
王 倩 西安市人力資源和社会保障局副処長
董 建玲 西安市公共交通総公司人力資源部副部長
王 紹君 中国西電電気股份有限公司人力資源部組織幹部部副部長
王 朋 兄弟機械(西安)有限公司総合企画部副部長
陝西省に続き、江蘇省代表団が来日
人力資源和社会保障部を中心とした陝西省の研修団に続き、中国職工対外交流中心を中心とした江蘇省の代表団が、同じく厚生労働省の労働関係指導者招聘事業の一環として、10月21日に来日しました。
符広洲・南京市総工会副主席を団長とする江蘇省代表団は、省・市・企業の工会(労働組合)関係者で構成され、団長以下5名と、中村豪・当センター総務・企画部部長、李晶宇・中国職工対外交流中心駐在員の一行は、22日に厚生労働省、当センター、23日には日本労働組合総連合会(連合)、公益財団法人日本生産性本部、そして24日には日本通運株式会社(※各敬称略。以下同じ)にて、それぞれ研修を受けました。
研修テーマは、前回の陝西省同様に、労使関係と、企業における技能訓練と設定しておりましたが、工会関係者を中心とした今回の団員らは、特に日本の労働組合の構成や役割に対して、大きく注目する傾向がありました。
研修の場では、企業と組合が完全に独立し、組合員の組合費で維持される点など、党の指導や企業と密接な関係にある中国の労働組合との相違について、驚きの声を上げていました。また、組合の組織率や組合の成り立ちについても、熱心に耳を傾けていました。
中でも、企業視察の一環として訪問した、日本通運株式会社では、貴重な品を預けるに足る信用のおける人材をいかにして確保するのかという点や、管理職を除く正社員が全員加入する組合体制(全日通労組)についてなど、企業ならではの具体的課題について、質問が飛びました。
一行は、研修の成果を各自で確認し、予定通り25日に帰国の途につきました。
伊藤昭彦・厚労省参事官による講義
【団員名簿】※敬称略
符 広洲 南京市総工会副主席
李 国明 江蘇省総工会国際部科長
劉 峰 淮安市総工会民主管理部部長
任 照成 牧田(中国)有限公司党委書記、工会主席
章 紅 豊田工業(昆山)有限公司工会主席
中国派遣機関を訪問
より優秀な人材の派遣を要請
派遣地域の留守家族や帰国実習生と交流
11月から12月にかけて、当センターは長年のパートナーである中国職工対外交流中心と人力資源和社会保障部国際交流服務中心に対し、人見理事長を団長とする訪中団をそれぞれ派遣しました。訪中団は両機関と技能実習生事業の拡大に向けて協議を行うと共に、中国各地の送り出し地域を訪問して、受け入れ企業の代表者と派遣地域との協議や、実習生を送り出している家族、帰国実習生との交流を行いました。
北京、成都を受入れ企業代表者とともに訪問(中国職工対外交流中心)
11月20日から24日まで、当センターから人見一夫理事長、中小路寛常務理事、及び受け入れ企業を代表して岩本繊維㈱・岩本代表取締役、㈱藤高・藤高代表取締役の4名が、中国職工対外交流中心(北京・成都)を訪問しました。
北京では、職工中心の彭勇秘書長、李暁波副秘書長、毛孟輝部長をはじめ担当スタッフが出席し、受け入れ企業・当センター・職工中心による三者協議が行われました。
このなかでは、①中国国内における実習生の確保などの対応強化、②送出し地域の担当者と今後の送出し体制の在り方、③日本国内の課題・解決策などをテーマに、率直な意見交換が行われました。続いて、職工中心より出席受入企業に感謝状が贈呈され、両者のあいだで協力関係の強化が確認されました。
その後、訪中団は北京から成都(四川省)に移動し、現地の職工中心から派遣状況の説明を受け、また、かけつけた元実習生との再会や実習生候補者の面談なども行われ、送り出し地域との関係をいっそう深めることができました。
職工中心北京本部にて、三者の意見交換
派遣地域で送り出し家族、元実習生と懇談(国際交流服務中心)
12月8日から12日にかけて、当センターから人見理事長と小松弘樹理事、国際交流服務中心から梁志剛副主任、東紅副処長、楊賦臻在日駐在員の一行が、山東省(青島・濰坊・泰安)各地域の派遣機関を訪問し、現地の派遣責任者と意見交換を行いました。
当センターからは、①実習生として望ましい資質、②企業側が希望する人材レベル、③質を維持できる候補者数の確保、などの点について要請を行い、中国側からは、①事前教育の一環として、日本語のほかに日本での生活マナーの教育にも力をいれていること、②日本国内には駐在員事務所を置き実習生管理の充実を図っていること、などが報告されました。
さらに、濰坊では、国際交流服務中心の現地研修所を訪問し、在所実習生の閉講式に出席して激励するとともに、実習生を送り出している家族の方々や満期帰国した実習生と懇談の場をもちました。留守家族からは「娘が日本に行って2年になるが、苦情を聞いたことがない。機会があれば、親戚などへも実習生への応募を勧めたい」など、謝意が述べられました。元実習生からは、「日本での3年間は非常に勉強になった。いま、日本での経験が大いに役立っている」などの声がきかれました。
実習生の家族や元実習生との懇談会にて
さらなる関係発展のため
二事業(教師派遣・看護師育成)の協議書・覚書に調印
張亜力 国家外国専家局副局長が来日
張亜力副局長を団長とする中国国家外国専家局の協議団が、11月25日から29日の日程で来日しました。
今回の来日は、一昨年5月に、張建国局長が来日して推進を図った「千人計画」(中国政府が実施している海外ハイレベル人材招致計画)のフォローアップを主な目的とするもので、日本国内の著名大学、機関、および長年の交流関係を持つ長崎県を訪問しました。
25日、長崎空港より入国した一行は、同行の新井力・当センター事務局長らと合流し、中村法道・長崎県知事を表敬訪問した後、渡辺敏則・同県教育長らと、中国への教師派遣などについて協議しました。翌日、一行は京都に向かい、吉川潔・京都大学副学長らを訪問し、一昨年の張局長訪日時の対応に感謝するとともに、ハイレベル専門家の受け入れなど、具体的協議を行いました。続く27日からは、東京へ移動し、専家局からの日本語研修者を受け入れている法政大学、早稲田大学、拓殖大学等との会談、さらに、中国大使館の韓志強公使を訪問するなどしました。
また28日には、当センターとの業務会談に臨み、『日本語教師の招聘と派遣に関する協議書・覚書(※2014年9月発効)』の調印を行いましたが、合わせて、『日中共同看護師育成事業に関する覚書』にも調印をしました。これは、センターが新規事業として進めている中国人看護師育成支援事業に対して、専家局が公式に協力を表明したという点で大きな意味を持ち、20数年来の共同事業である日本語教師派遣事業と合わせて、センターと専家局が更に強い協力関係を築いたと言えます。
密度の濃い5日間の行程を終えた一行は、29日、次の目的地マレーシアへと飛び立ちました。なお、団員名簿は次の通りです。
協議書・覚書を交わした中国国家外国専家局
張亜力副局長(左)と人見理事長
当センター本部での業務会談
2013年度上半期事業報告・中間決算、定款の一部変更、
第6回臨時評議員会の開催について承認
〜第9回理事会〜
10月31日(木)14時00分~15時10分、センター会議室において人見理事長以下理事・監事13名が出席し開催しました。
冒頭、人見理事長より「上半期中間業績について、収入は前年に比べ落ち込んでいるが支出の軽減に取り組んだ結果、収支差引は大幅に改善されており、下期以降についても気を緩めることなく、収入確保の為、既存企業へのアプローチは勿論のこと、受入企業の新規開拓・拡大に取り組み、事業計画の完達を目指す。また、新規事業については第6回評議員会(決議の省略)を開催し、定款を変更(新規事業の追加)するとともに、内閣府に対し公益目的事業申請を行い来年度の事業化に向け取り組む。」との挨拶があり、審議の結果、全議案について決議されました。
第9回理事会
四国支所からのたより
瀬戸内海の美しさに感動
〜中国人実習生企業配属の日の一場面〜
11月初旬、当センター岐阜研修所にて一か月間の研修生活を終えた中国人実習生たちが、いよいよ企業へ配属される日がやってきました。
実習生たちは皆、緊張した表情でバスに乗り込み、配属される四国の企業まで約5〜6時間のバスの旅がはじまりました。
バスに揺られること数時間、視界に瀬戸大橋が現れ、瀬戸内海を眺めた実習生達は大興奮!表情は、一気にぱっと明るい笑顔に変わり、さきほどまでの緊張や不安もどこかへ吹き飛んでしまったようです。
実習生達に同行した四国支所の程一軍駐在員は、「中国からの技能実習生は内陸部出身で海を見たことのない人も多いですが、海辺の青島から来た実習生も少なくありません。ですが、青島から来た実習生であっても、瀬戸内海ほど綺麗な海はまず見たことがないでしょう。あの青空の下の青い海、点在している多くの緑の島々、雄大壮観な瀬戸大橋…。中国からの実習生達を連れて瀬戸大橋経由で瀬戸内海を渡る時、私はいつも感動します。何回通っても同じです。」と言います。
瀬戸内海に魅了された実習生達は、翌日から始まる企業での実習生活に、期待と希望で胸がいっぱいになったことでしょう。
さあ出発 緊張した表情の実習生
瀬戸大橋が目前に
瀬戸内海を見た実習生たち