ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員 田 中 修
5月11日、国務院第7回全国人口センサスの結果が公表された。この調査は、2020年11月1日0時を基準時点としている。
(1)人口総量
全国人口は14億1178万人であり、2010年(第6回全国人口センサスデータ、以下同じ)の13億3972万人と比べ、7206万人、5.38%増えた。年平均増加率は0.53%であり、2000~2010年の年平均増加率0.57%と比べ、0.04ポイント低下した。
(2)世帯人口
世帯数は4億9416万件で、世帯人口は12億9281万人である。1世帯当たり人口は2.62人で、2010年の3.10人と比べ0.48人減少した。
(3)人口の地域分布
東部地域の人口のウエイトは39.93%(2010年と比べると、ウエイトは2.15ポイント上昇)、中部地域は25.83%(同0.79ポイント低下)、西部地域は27.12%(同0.22ポイント上昇)、東北地域は6.98%(同1.20ポイント低下)である。
(4)性別構成
男性人口は7億2334万人(人口の51.24%)、女性人口は6億8844万人(同48.76%)である。総人口の性別比は女性100に対し男性105.07であり、2010年よりやや低下した。出生人口の性別比は同111.3であり、2010年より6.8低下した。
(5)年齢構成
0~14歳人口 2億5338万人(ウエイトは17.95%、2010年より1.35ポイント上昇)
15~59歳人口 8億9438万人(同63.35%、6.79ポイント低下)
60歳以上人口 2億6402万人(同18.70%、5.44ポイント上昇)
65歳以上人口 1億9064万人(同13.50%、4.63ポイント上昇)
なお、2020年の出生人口は約1200万人であり、1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数(合計特殊出生率)は、1.3である。
(6)都市・農村人口
都市居住人口は9億199万人(2010年と比べ、2億3642万人増)で、63.89%を占める。農村居住人口は5億979万人(同1億6436万人減)で、36.11%を占める。都市人口のウエイトは14.21ポイント上昇した。
人口センサスの結果を受け、習近平総書記は5月31日、党中央政治局会議を開催し、対応を協議した。
まず、「人口高齢化に積極対応する国家戦略を貫徹実施し、健全な関連政策体系と制度枠組を早急に確立しなければならない」とする。
具体的には、漸進式の法定退職年齢延長の実施、従業員基本年金保険の全国統一、多層レベルの高齢者介護保障システムの整備、長期介護保険制度の枠組の確立、家庭とコミュニティ機関が協調し、医療・ヘルスケアが結びついた高齢者介護サービスシステムと健康サポートシステムの建設、高齢者産業の発展、各分野・各業種の高齢化に適応した転換・グレードアップ、「親に孝行し老人を敬う」伝統・美徳の発揚、高齢者の合法権益の擁護が挙げられ、各レベル党委員会・政府は、高齢者事業を発展させる財政投入政策と多くのルートによる資金調達メカニズムを整備することとされた。
計画出産については、これまで党中央は、人口動態の変化に基づき、「一人っ子」政策を、「一方が一人っ子の夫婦については2人までの出産を認める」政策、続いて「夫婦について制限なしに2人までの出産を認める」政策へと緩和してきた。
しかし、人口の高齢化加速を受け、さらに「一組の夫婦について3人までの出産を認める」政策と関連支援措置を実施することを決定し、各レベル党委員会・政府は、法に基づき3人までの出産政策を組織的に実施することとした。
また、若者が結婚や子供を作ることに消極的になっていることを受け、結婚・出産・養育・教育を一体的に考慮し、結婚適齢期の青年の結婚・恋愛観、家庭観の教育指導を強化し、包摂的な幼児保育サービスシステムを発展させ、教育の公平と質の優れた教育資源の供給を推進し、家庭の教育支出を引き下げ、出産休暇・出産保険制度を整備し、税制・住宅等の支援政策を強化し、女性の雇用の合法権益を保障しなければならないとしている。
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