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チャイナ・レポート(Web版)

金融の安全保障(2017年9月1日号掲載)

日中産学官交流機構 特別研究員 田中 修

 1〜6月期のGDPは、実質6・9%の成長となった。四半期別では、1〜3月期6・9%、4〜6月期6・9%と横ばいである。消費者物価は前年同期比1・4%上昇と、年間目標3%以内におさまった。
 1〜6月期の新規就業者増は735万人で、年間目標1100万人の66・8%を達成した。また6月末の都市登録失業率は3・95%(年間目標4・5%以内)と、ここ数年で最低になった。
 1〜6月期の全国住民1人当りの可処分所得は実質7・3%増と、成長率を上回った。
 GDP成長率公表を踏まえ、習近平総書記は7月24日党中央政治局会議を開催し、当面の経済情勢を分析・検討し、下半期の経済政策を手配した。
 1〜6月期の経済情勢については、「経済運営は合理的区間にあり、主要指標は予想より好く、都市就業者は平穏に増加し、個人所得はかなり速く伸びており、物価は総体として安定している」と前向きの評価をしている。
 これを踏まえ、下半期の経済政策については、「安定と前進の関係を更にしっかり把握し、バランス・タイミング・程度をしっかり把握しなければならない」とした。
 習近平総書記は、7月21日に開催した党外人士座談会においても、「大局の安定を維持する前提の下に前進をはからなければならない。安定の中で前進を求めるということは何もしないことではなく、程度をしっかり把握する前提の下に結果を出すということである」とする。
 今年は第19回党大会が開催されるため、経済成長の安定と社会の大局の安定の維持は、指導部にとって必須である。しかし、2013年の党3中全会では、改革の重要項目が決定され、2020年までに「決定的成果」を上げなければならないとされている。2017年は、その中間の年であり、改革面で何も成果が上がっていないではすまされないわけである。
 具体的な政策については、次の諸項目が決定された。

①積極的な財政政策と穏健な金融政策をしっかり実施する。
②「ゾンビ企業」の処理にしっかり取り組み、市場メカニズムをより多く運用して、優勝劣敗を実現する。
③脆弱部分の補強に力を入れ、供給の質を改善する。
④累積した地方政府の債務リスクを積極かつ穏当に解消し、地方政府の起債による資金調達を有効に規範化し、隠れ債務の増大に断固として歯止めをかける。
⑤金融の乱れた状態を深く着実に厳しく治め、金融の監督管理の協調を強化し、実体経済への金融サービスの効率・水準を高める。
⑥不動産市場を安定させ、政策の連続性・安定性を堅持し、長期に有効なメカニズムを早急に確立する。
⑦外資と民間投資を安定させ、財産権の保護を強化し、外資の市場参入を拡大し、投資家に対するビジネス環境の吸引力を増強する。
⑧民生政策を高度に重視し、雇用を積極的に促進し、困窮者が生産・生活の中で遭遇する困難・問題の解決を援助する。

 会議では、「システミック金融リスクを発生させない最低ラインをしっかり守ることを確保しなければならない」とされており、地方政府の債務、不動産市場、インターネット金融といった分野の金融リスクをうまくコントロールすることが大きな課題となっていることが分かる。
 このため、7月14〜15日には、5年に1回金融に関する重要問題を討議する、全国金融工作会議も開催された。
 会議は、新たに国務院金融安定発展委員会を設立し、人民銀行のマクロプルーデンス完治をシステミック金融リスクの防止の職責を強化させるとともに、金融への党の指導を強化することを決定している。


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